英国ロンドンの暴動は7日夜に北部エンフィールド、ウォルサムストー、南部ブリクストンにまで拡大した。また、市中心部オックスフォード・ストリート一帯でも一部で暴力、破壊、略奪、放火の犯罪行為が見られた。
北部トットナムでの暴動発生から2夜連続で暴力、破壊、略奪、放火事件が起きたことになる。送稿時点でスコットランドヤード(編者注:ロンドン警視庁)は、警察車両の破壊や商店略奪の容疑で100人以上を逮捕し、警察側35人が負傷し、消防当局には7日夜だけで火事の通報が445回以上寄せられたとしている。
中国現代国際関係研究所欧州研究所の曲兵氏はこれについて、次のように分析する。2008年の世界金融危機以来、英国経済は低迷を続け、今年第2四半期の国内総生産(GDP)成長率はわずか0.2%だった。英国経済が依然振るわないことを物語っており、これは社会に計り知れない影響を与えている。経済低迷への対応として、英国政府は緊縮財政策を実施している。庶民は理解はしていても、緊縮財政による悪影響に耐えることができない。特に大卒生の失業率増加に、反抗的な青年は不満をつのらせ、発火点を待つばかりとなっている。少し前の北アイルランド暴動、さらに前のパリ暴動が連想される。今回の暴動は偶然であり必然でもあったと言えよう。たとえ銃撃事件がなくても、他の導火線が市民の不満に火をつけただろう。
暴動拡大には警察側の問題も確かにあるが、ロンドン、さらには英国警察の警備能力の不足を証明するには不十分だ。暴動拡大は、地元警察当局が事態の推移がここまで速いとは意識していなかったことが大きい。オリンピック開催を来年に控えるロンドンは本来テロ攻撃の最大の標的であり、警備体制はさらに強化される。英警察当局が現在抱えている問題は主に2つある。第1に、赤字削減のため警察予算が削減されている。英警察当局は大幅な人員削減を予定している。人員と資金が不足するなか、社会秩序を維持するのは困難だ。第2に、「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の盗聴スキャンダルの後、警察への信頼が低下している。信頼を再構築し、民衆の支持を取り戻すには、長い道のりを要する。
「人民網日本語版」2011年8月10日