米ニューヨーク・タイムズスクエアの大型電光掲示板の中国企業による長期使用が今月初めに始まった。一部外国メディアはこれを「世界の十字路」の「中国の窓」と呼んでいる。
これは確かに意味深長な比喩だ。
大国間のパワーの消長、多元的な発展モデルの併存、制度設計の脱構築と再構築、次々に出現するガバナンス・メカニズム----。大発展、大変革、大調整のチャンスと試練に対する各国の受け止め方は全てが同じというわけではないが、選択、適応、地位争いの切迫感は一致している。
急速に台頭する中国が世界に与える影響を軽視できる者は少ない。1922年に英国の哲学者ラッセルは著書『中国の問題』で「今後2世紀の間、中国は良い方向に発展しようとも、悪い方向に発展しようとも、世界情勢に決定的な影響を与える」と記した。中国の発展の方向はすでに明白だ。巨大な変革は「良い方向」と「悪い方向」の間の曖昧な部分を洗い流している。だが「中国のイメージ」は速やかな同一化へは向かっていないし、それは不可能だ。自らの「中国のイメージ」を形成すべく取り組む人が増えている。
「中国の窓」は何を展示するのか?過去10日間、人々は中国メディアの報道、都市や有名ブランドのイメージ広告を目にした。近くには西側の大手通信社の電光掲示板があり、両者が「世界の十字路」で共演している。「中国の窓」の持つ意義が商業広告の範疇を超えていることは明らかだ。この窓の最大の主題が、チャイニーズ・ストーリーをより良く語り、良好な中国イメージを築くことであることは間違いない。
どんなサクセス・ストーリーにも真実で信頼できるディテール、温かく感動的な叙述が不可欠だ。チャイニーズ・ストーリーも例外ではない。中国の発展は任重くして道遠しだ。発展の過程において中国の直面する矛盾や問題は、その規模も難度も異例だ。相当期間、複雑性がチャイニーズ・ストーリーの特徴となることは避けられない。しかし、起伏と変化に富むストーリーを前に、たゆまず探求し、大胆に新機軸を打ち出し、困難に打ち勝つ中国人の勇気はなおさらに人々の心を揺さぶっている。今日の中国は世界の舞台の中心へと向かっている。中国はもはや世界から影響を受けるのみならず、世界に影響を与えている。チャイニーズ・ストーリーをしっかりと語ると同時に、世界のストーリーもしっかりと語る必要がある。これは聴衆の求めへの配慮であり、成長中の大国にとって必須科目でもある。
中国には世界の物語をうまく語る能力がある。