最近、欧州諸国と米国は非難合戦を繰り広げている。北大西洋条約機構(NATO)内が団結していないことに関する発言も、さまざまな場で聞かれる。リビア戦争をめぐり、米国は欧州が金を出さないことに腹を立て、欧州は米国が表に立たないことを恨んでいる。
NATO内部の新たな摩擦には従来とはやや異なる背景がある。まず、現在米欧は共に深刻な経済危機の泥沼にはまっている。特に米国はイラクとアフガニスタンからの撤退を極力図っており、他国が安全保障に便乗することはこれ以上認めがたい。米国が欧州の安全保障を肩代わりすることに対して、議会と市民は関心も忍耐力も薄らいでいる。
債務危機と経済危機の二重の打撃をこうむったことで、欧州の統合プロセスは停滞し、共通外交・安全保障政策は口先だけに止まっている。こうした事態を前にして、米国は自国の直面する新しい重大な戦略問題において、欧州は役に立たないと判断している。米国外交学会のリチャード・ハース会長にいたってはワシントン・ポスト電子版で「米欧のパートナーシップは冷戦を指導し、勝利する中で核心的役割を発揮した。だが将来的に次第に重要でなくなることは避けられない。一定程度において、米欧のパートナーシップはあってもなくてもよいレベルにまで達している」と直言している。
これら全ては、ソ連崩壊以来存在価値に疑問が投げかけられ続けてきたNATOが終わりを迎えることを意味しているのだろうか?答えはノーだ。内部不和、重要性の低下にも関わらず、欧米は依然として既存の関係の維持を必要としており、軽々な解消はあり得ない。