菅直人首相の後継代表を決める民主党の代表選が29日に行われ、野田佳彦財務相が新代表に選出された。新代表は30日に予定される国会での指名選挙で次期首相に選出される。でも、日本が現在直面している複雑な情勢を考えると、新政権の運命はまた難局から出発することが明らかだ。
まず、現在の日本は第二次大戦後、もっとも困難な時期にある。「国難」という言葉で日本国内の状況を形容しても言いすぎではない。経済が長期的に低迷している状況で、多くの国がインフレリスクに直面しているのとは真逆に、日本は、デフレという大きな難問に対応している。また、同時に全国の人口は減る一方で、人口構造は高齢化の特徴が顕著になっている。日本円の為替レートは高値を続伸し、産業転換は難しさを増す。一言でいえば、日本経済はこれからも継続、安定して、不確定性はまさに底上げされていくだろう。さらに、深刻なのは地震、津波、原発による放射能漏洩という三重の災難で、日本国内の経済は大打撃を受け、放射能の後遺症は日本の各場面でくすぶり続けている。電力不足と製品輸出の安全問題は致命傷になるだろう。
また、消費税率引き上げ問題にも新政権は取り組まなければならない。これは不可避の焦点だ。民主党が2009年に衆議院で圧倒的多数の議席を獲得し、政権交代したのは周知のとおりだが、その行き届いた高額の社会保険政策は実施できなかった。続く経済不振に大震災の襲来で、これまでの民主党政権は財源逼迫の窮地に陥っている。同じように新政権も「財源問題」という難題を避けることは出来まい。
これに、新政権はもう一つ重責をになうことになる。東北地域の再建資金だ。格付け機関ムーディーズは先般、日本を格下げし、日本経済は一層冷え込んだ。これにより日本国債の発行は減少し、経済成長への期待も弱まり、外国からの投資減少など一連の経済的なマイナス効果が見られる。このため、新政権は難しい政治課題を全うするに必要な財政確保のため、消費税率を上げざるを得ない。ただ、日本の政治家の言葉を借りれば、これは苦肉の策だ。日本政府はどちらの道を進んでも困難に見舞われる。消費税を上げれば、政権は批判されるだろうし、上げなければ、日本は広範囲で不景気という病に冒されることになるだろう。