インドが最近、ベトナムのチュオン・タン・サン国家主席、ミャンマーのテイン・セイン大統領の訪問を相次いで迎えたことに各方面が注目している。欧米メディアは「インドは『東方接近』を加速しており、ASEAN諸国にも対印協力強化の意思がある。双方は新しい緊密な接触期に入りつつある」と指摘する。インドの戦略評論家ラージャ・モンハン氏は「インドとベトナム・ミャンマーなどASEAN諸国との協力関係強化の背後には、必ず中国要素がある」と指摘する。
両首脳のこの時期の訪印について、タイムズ・オブ・インディアは「インドは現在東方戦略を実施しており、ベトナムとミャンマーはその重要なカードだ。インド海軍もこれによって南アジアの重要海域への進入ルートを切り開くことができる」と分析する。だがラージャ・モンハン氏は「問題はどこまで行けるかだ。われわれはアジア諸国に安全保障を提供すべきなのか?」と包み隠さず指摘する。
インドは1990年代初頭にASEANやアジア太平洋諸国との関係発展を強調する「ルック・イースト」を打ち出したが、本格的に推進し始めたのはここ2、3年だ。特に隣国や東南アジア地域との一連の連携に、人々は東方戦略の持つもっと多くの意味を見ている。今年初めにインドネシアのユドヨノ大統領が丁重な待遇を受けてニューデリーを訪問した時が、インドの重心移動「東方戦略」の始まりと見なされている。9月のシン首相による隣国バングラデシュへの訪問「氷を割る旅」は、「東方戦略」の重要な一歩と見なされている。
ベトナム・ミャンマー首脳の相次ぐ訪印は「ルック・イースト」の1つの見せ場を演出した。多くのインドメディアが対ベトナム・ミャンマー関係の背後にある中国要素を誇張し、東方接近の加速は地域における中国の影響力拡大を受けてのものと考えている。だが、インド外務省報道官は「国家関係はゼロサムゲームではない。中国とインドはこうした国々の発展を支持する中で、同様に重要な役割を演じることができる」としている。
「人民網日本語版」2011年10月18日