軍事学者の張博氏によると、イランが米軍の無人偵察機の技術を解読すれば、米情報収集システムへの多大な影響は免れないという。米国はイランとの関係が密接な大国がこの技術を入手するのではないかと懸念している。
無人機は米軍の情報リンクおよび管制システムの重要な一環で、米軍のわりと先進的なlink16データリンク技術を採用。これはデータ交換、態勢感知、管制などに使われるデータ通信システムのモデルで、米軍と北大西洋条約機構(NAT0)軍で広く一般に使われている。
このタイプの無人機は空力性能やステルス性能など米軍の各種先進技術の複合体でもある。イランがそれを解読した場合、米軍の管制システムのデータ伝送方式や構成、弱点が掌握でき、軍事装備の研究水準を高める上で大いに役立つ。
同無人機には米軍の先進的なセンサー、カメラ、エンジン、制御システムを搭載しているとの分析もある。
米国イランがどうやって無人機を撃墜したのか、そしてどう処理するのかに気をもんでいる。イランは某大国の助けを借りて無人機を撃墜した可能性と、イランの実力は米国の予想をはるかに上回るもので、単独で無人機を撃墜した可能性がある。
いずれにせよ、米国にとっては非常に不利だ。米国がもっと心配しているのは、イランと関係の深い大国が無人機を入手し、それを逆方向から分析して米軍の弱点を見つけ、作戦能力を削ぎ、米国の戦略的抑止力を脅かすことだ。イランの外交官がすでにロシアに向かい、ロシア側と無人機の問題について話し合ったとの報道もある。
◇無人機事件の流れ
4日:イランのメディアは、イラン軍当局が東部国境近くで米国の無人偵察機を撃墜したと暴露。ペンタゴンは回答を否定。
5日:ペンタゴンの報道官は、無人機が撃墜された証拠はないが、イランが関連技術を入手した恐れはあると発表。
8日:イランテレビが米軍の無人偵察機を公開。
12日:イラン担当官が、回収した米軍無人機を模造するつもりだと発表。
13日:米政府が初めて無人機がイランの手中にあることを認め、オバマ大統領自らイランに返還を求めた。