記者:国際情勢には今年、どのような重要な変化があったか。
楊潔チ外相:国際情勢には今年、非常に深いレベルの複雑な変化が生じた。全体的な平和・安定は保たれたが、計り知れない影響を及ぼす重大な事態、難しい事態、緊急事態が次々に発生し、不穏面が比較的目立ち、国際関係、国際秩序の調整や変革が加速した。
世界のパワーバランスはよりバランスの取れた方向への発展が加速した。総合国力の競争が激化した。新興市場国と途上国の台頭が続き、BRICSに代表される新興国の協力枠組みが深化し、国際情勢の発展を牽引する重要なパワーになってきた。20カ国・地域(G20)が世界経済ガバナンスの重要な場となり、国際金融機関や金融監督の改革に一定の進展があった。
世界金融危機の深いレベルでの影響が一層顕在化した。世界経済は回復力を欠き、危険性が高まった。一部の国で債務危機が悪化し、主要経済体の成長が落ち込んだ。新興市場国も外需の縮小、インフレ進行などの試練に直面し、さまざまな形式の保護主義が世界的に台頭した。世界経済ガバナンス体制の改革と改善が早急に求められている。
西アジア、北アフリカでは不穏な状態が続き、地域のパワーバランスが変化し、国家関係に新たな再編が生じ、動揺と変革の交錯する不安定期に入った。パレスチナ・イスラエル問題、イラン核問題、アフガニスタン問題など重大な問題が次々に起き、国際情勢に衝撃を与えた。エネルギー資源、ネットセキュリティ、自然災害など非伝統的安全保障問題が一層顕在化した。安保問題の突発性、伝導性、連動性が強まった。
国際構造におけるアジア太平洋地域の地位が一層高まった。各国はアジア太平洋への取り組みを競って強化し、地域の国家関係は深いレベルの調整を前にしている。アジア太平洋は世界で最も発展の活力と潜在力に富む地域だ。領有権や海洋権益をめぐる域内諸国の争いはいくつかあるが、地域情勢の基調は常に平和・安定・発展・協力だ。
記者:来年の外交的取り組みの展望は。
楊潔チ外相:来年は第18回党大会を迎え、第12次五カ年計画も全面的実施段階に入る。国際パワーの消長・変化、国際体制の変革・調整、国際関係の調整・相互作用がより深いレベルで進む。世界経済は全体的として非常に厳しく、複雑な情勢が続く。いくつかの重大な国際問題の影響が後になって次々に顕在化する。予測可能、または予測困難な不安定・不確定要素も数多く残る。わが国の国際的な地位や役割を各国はより重視するようになるが、危険性や試練も高まる。全体から見れば、わが国の発展は依然、重要な戦略的好機にある。われわれはチャンス意識、憂患意識、リスク意識を一層高め、しっかりとチャンスを捉え、適切に試練に対処し、外交面の各取り組みをたゆまず新たな段階へと押し上げていく。
「人民網日本語版」2011年12月19日