ガイトナー米財務長官は10日から2日間の日程で中国を訪問した。人民元相場の問題が主な議題だったこれまでと違い、今回はイランからの原油輸入を削減するよう要請するのが目的だ。
「イランに焦点をあてたガイトナーのアジア訪問」――。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はこういう見出しで米財務長官の訪中の目的を強調した。報道によると、ガイトナー長官は中国にイランからの原油輸入を大幅に削減するよう説得し、国際的な制裁によるイランの金融業へのダメージを強める考えだ。
仏紙Le Mondeによると、米欧はすでにイランに対する原油禁輸を実施する姿勢を示し、中国や日本も制裁に協力すれば、イランは国際的に孤立する。禁輸は「外交威嚇」で、イランに「戦わずして急所を突くことができる」ことを警告する狙いだ。
「これは米国の一貫した行動方式と完全に一致する」。と中国人民大学国際関係学院の金灿栄副院長は中国に圧力をかけつつ、中国に協力を求める米国のやり方をこう評価する。金副院長は中国紙「環球時報」の記者に、米国は「ナンバーワン」を自認し、相手を押さえつけたり、非難するのは当然、しかも相手が米国のために尽力するのも当然だと思っていると指摘。
「これは米国の一貫した自己中心的な心理で、他人の利益など考えない。米国のこの心理に、中国がつきあう必要はない。具体的な利益が絡む場合、意思を貫くべきところは貫かなければならない。イランと原油貿易をする中国企業に米国が制裁を加えた場合、中国は米国企業に逆に制裁を加えればいい」と述べた。
また、米国の世論はガイトナー長官の今回の使命の旅にあまり期待していない。米ブルームバーグ社は10日、イランからの原油輸入を削減する米国の呼びかけに中国の幹部は共鳴しないだろうと伝えた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月12日