米国は今後、南中国海問題にどのように介入してアジア太平洋のリーダーシップを握るのだろうか。報告は米国主導の多国間枠組みの確立に力を入れる必要性を指摘。南中国海問題における中国の「覇権」に対応するため、新たな安全保障パートナー網の構築を提言している。これは「米日韓豪比」同盟を「支点」とするモデルだという。
これらの提言によって、南中国海のルールを定めようとする米国の衝動が浮き彫りになった。数十年前の冷戦時代の話のように聞こえるが、確かに21世紀の今日起きていることなのだ。南中国海問題において覇権を弄しているのが中国ではなく米国であることは明らかだ。自国のルールを世界のルールに取って代え、世界のルールを自国のルールに従わせるのは、どの覇権にもほぼ共通する特徴だ。最近米国がイランと石油取引関係にある中国、シンガポール、アラブ首長国連邦の企業3社に制裁を科したのも、その典型的な例だ。
今日の南中国海は冷戦時代とは大きく異なる。南中国海周辺国の最大の望みは発展であり、これは地域の大勢でもある。どの国も紛争によって発展が損なわれることは望んでいない。こうした共通の願いがあるからこそ、各国が共にテーブルにつき、協力について話し合えるのだ。そして協力は必然的に将来の平和的解決、さらには新たなルールの制定のために良好な雰囲気を醸成し、堅固な土台を形成する。