資料写真:ひゅうが型と「22DDH」の比較
自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「22DDH」がIHI横浜工場で起工した。同艦の起工は日本の大中型艦船の大きな突破口となり、日本海軍の発展にとって「一石多鳥」の戦略的意義を持つ。
◆艦船の排水量に関わる制限を突破
長年、日本は「平和憲法」の制約により空母を含め攻撃性のある兵器の建造ができなかった。この状況を変えようと日本は一連の艦船製造計画を制定、それを揺るぎなく進めてきた。国内外の世論を考慮し、日本は各種大型艦船を輸送艦、ヘリ搭載護衛艦などと命名。海軍専門家の多くは、排水量も構造上も22DDHは小型空母と違いがないと指摘する。発展の傾向からみると、日本は今後より排水量が大きく、より長く広い甲板のある4万トン以上の中型空母を建造するに違いない。
◆今後の空母建造のための技術蓄積
22DDHは全通飛行甲板を採用、ひゅうが型より全長が51メートル長い248メートル、幅も5メートル長い38メートルある。今後艦載機の離陸と着陸に有利なように艦橋を右舷に寄せて配置する標準的な空母方式を維持。さらに次の3つの点で大きな改造を施している。
(1)昇降機(エレベータ)を完全に艦の両舵に移動、昇降機の最大積載量が20トンに増え、F35Bなど固定翼艦載機を積載可能となった。
(2)SeaRAM防空ミサイルとファランクス近接防御武器システムを両舵に設置。こうした配備は今後スキージャンプ式飛行甲板への改造や、垂直/短距離艦載機の離着陸に有利。
(3)飛行甲板の基準と材料を改造。より厚い高強度の鋼板に変更し、表面にも耐高温材料を敷設した。
実際、鋼板の長さと幅が増し、甲板の厚さと材料を大幅に改良したことで、22DDHはF35Bなど垂直/短距離艦載機の離着陸に非常に適したものとなった。