朝中社が先月26日に発表した写真から、北朝鮮の新たな指導者である金正恩氏が軍隊の査察を行なっていることが明らかになった。
朝鮮は核実験やウラン濃縮活動を一時停止することに合意し、国際原子力機関(IAEA)天野事務局長は2月29日ウィーンで、「IAEAの監視要員は核施設での調査を行なうため、北朝鮮に戻る準備を行なっている」と発表した。
同日、ヒラリー・クリントン米国務長官は、朝鮮が核実験の一時停止に同意したのは「慎重な第一歩」とコメント。
クリントン米国務長官は公聴会で「これは朝鮮が正しい方向へ向かう控えめな第一歩を踏み出したことを意味する。また、回りの世界が変化中と示している」と述べている。
クリントン米国務長官の発言から、アメリカの朝鮮に対する不信感は消えているわけではないが、新しい指導者には期待していることがわかる。「アメリカは北朝鮮の新しい指導者の行動を注意深く観察し、判断する」という。
米国務省のヌーランド報道官は朝鮮の判断に対し「重要で、ささやかな進展である」とコメントし、「アメリカは朝鮮と24万トンの栄養食品の支援へ向けて具体的な話し合いを行なうことに同意している」ことを明らかにした。
米朝関係はなぜ突然動いたのか?
中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長はこの疑問に対し、「第3回朝米ハイレベル対話でひとつの突破口を見つけた事と、朝米両国が直面している現状とに密接に関係する」と指摘している。
金燦栄副院長によると、朝鮮からすれば、金正恩氏が指導者になってから2カ月あまり、政権交代はまずまずの成功といえる。しかし、朝鮮の今の経済状況は深刻で、国内の安定を保つためには大量の国外からの支援が急務である。それと同時にアメリカの経済制裁の緩和がなければ、経済的に更に孤立し、政権にも打撃を与える。アメリカ側から言えば、今年は大統領選挙の年でもあり、オバマ大統領は中東情勢が混乱している現状の中で、更に朝鮮半島の問題まで抱えたくないと考えている。アメリカは朝鮮の指導者が変わった後、アメリカが望む方向へと北朝鮮を進展させることができることに期待している。
「これは取引そのものだ」と金副院長は言う。アメリカは支援と引き換えに朝鮮の核実験を停止させ、朝鮮半島の安定を求めたのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月2日