ローチ氏は「米国が人民元相場問題に注意を注ぐのは間違っている。これによって米中の経済関係におけるより重要な問題が覆い隠されているからだ。第1に、米国の貿易赤字は多国間のものだ。2010年を例に取ると88カ国との間に貿易赤字を抱えている。多国間の不均衡を中米二国間の為替問題に圧力をかけるだけで解決することはできない。多国間の不均衡の根本的原因が自国の貯蓄不足にあるのならなおさらだ。実際には米国の主な問題は国内に起因するもので、中国を非難しても国内状況の改善を妨げるだけだ。第2に、人民元は2005年中頃以降、対米ドルですでに31.4%上昇している。これはシューマー・グラハム法案の提示した27.5%を遥かに超えている。第3に、中国の対米輸出全体のうち、中国国内の価値増加の反映は20-30%を上回らず、およそ60%が外資系企業による輸出だ。グローバル化された生産プラットフォームが米中間の貿易データを歪めているのであり、為替相場とはほぼ無関係だ」と指摘。
さらに「中国を主な脅威と見なすわけにはいかない。人民元相場問題だけに注目しては反対の結果を招く。経済の伸び悩む米国は市場参入問題に目を向けるべきだ。米国は消費不振が続いている。過去4年間、インフレ要因調整後の個人消費は年0.5%しか伸びていない。米国は新たな成長軸を急いで探す必要がある。そして中国には米国の消費者の残した空白を埋める潜在力があるのだ」と強調した。
協力して初めて互恵が可能になり、互恵があって初めて共栄が可能になる。中国との対立を激化しても米国は「何も失わない」との考えは全く事実に反する。最終的に損なわれるのは、まさに米国民自身の実際の利益なのだ。
「人民網日本語版」2012年6月28日