日本の参議院は29日夕の本会議で、国民の生活が第一など野党7会派が提出した野田佳彦首相に対する問責決議案を可決した。首相問責決議案の可決は福田康夫元首相、麻生太郎元首相に続き史上3人目。首相問責決議案は参議院が首相の政治責任を追及する決議で、法的拘束力はない。日本メディアは、野田首相は辞任も衆院の早期解散・総選挙も行わないと見ている。
野党・みんなの党の小野次郎氏は問責決議案提出の理由について「野田内閣が可決を強行した消費税率引き上げ法は、先の衆議院選挙での民主党のマニフェストに違反している」と説明。自民党の川口順子氏は「野田政権と民主党は震災復興や竹島(韓国名・独島)・釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる摩擦など、解決を迫られている課題への対応において、『与党』としての能力や責任感が欠如している」と述べた。
【解説】劉軍紅・中国現代国際関係研究院日本研究所研究員
野党が提出した参院の首相問責決議案は賛成129票、反対91票で可決された。野田政権にとっては最大の激震と言える。過去の首相問責決議案可決後の結果から見て、野田政権の前途は楽観を許さない。2008年に福田康夫首相(当時)は問責された後3カ月で衆院を解散、2009年に麻生太郎首相(当時)も問責後3カ月で政権を失った。現在野田首相はさらに厳しい政治的難題に直面している。少し前に党内の実力派の小沢一郎氏がグループを率いて離党し、新党を結成した。また、大震災による危機以来、地方政治勢力が次々に台頭し、国勢に参与している。最大野党の自民党は復権意識が強く、支持率が高まっている。野田政権は最近アジアの制海権の争奪を強化し、海上保安庁の権力を強化してもいる。周辺国との安全保障上の対立が先鋭化し、伝統的な安全保障のリスクが高まり、島嶼をめぐる海洋紛争が絶えない。野田政権が内政・外交共に行き詰まっているのは、歴史認識がはっきりせず、現在と将来のアジアの発展の情勢を誤って判断していることが根本的原因だ。
日本とアジア隣国の和解には、日本が正しい歴史観をしっかりと確立し、平和的協力と互恵・ウィンウィンに基づく地域協力の観念、および平等・尊重、共同発展いう価値観を確立することが必要だ。さらに必要なのは、隣国に災いを押し付ける、脱亜入欧、地域制度覇権といった弱肉強食のジャングルのような哲学から徹底的に抜け出すことだ。
「人民網日本語版」2012年8月30日