平和共存五原則が提唱されてから、2014年で60周年となる。周恩来元総理は1954年6月、インドとミャンマーの訪問期間中、このアジアで最も早く民族の独立を実現した二カ国の政府と共同声明を発表し、領土・主権の保全、対外不侵略、内政不干渉、平等互恵、平和的共存の原則を確認し、これを掲げた。
中国の新指導部は平和共存五原則の歴史的・現実的意義を高く評価し、これを引き継ぐ決意を示した。60年が経ち時勢に変化が生じ、今日の世界はすでに境界線がはっきりした二極化構造ではなくなり、政治の多極化・経済のグローバル化が深まる多元的な共生の世界になっている。今日の中国はもはや生存の危機には瀕しておらず、急速に成長し世界に利益を与える大国になろうとしており、国際的な問題に巻き込まれることが不可避になっている。いかに平和共存五原則を創造的に引き継ぎ、新たな情勢における国家の利益と使命によりふさわしいものとするか。これは新指導部に突きつけられた課題だ。
主権の原則、内政の原則は、グローバル化、一国主義、人権が主権より尊重されるといった戦略的理念の侵蝕を受けている。国際社会は確かに、気候変動、テロリズムなどの世界的な問題で、国家の境界を越えた共通認識を形成する必要があるが、民族国家は今後長い期間に渡り国際政治の最も主要な行為体である。1648年に始まるヴェストファーレン体制には根本的な揺らぎが生じておらず、国家主権は依然として国家利益の集中的な具現者、信頼できる保障である。