次に、慰安婦問題を否定することで、日本の右翼勢力の前で力強いイメージを形成し、政権運営の基盤を固めることができる。慰安婦問題の否定は、安倍首相が推進している憲法解釈見直しによる集団的自衛権の解禁と同じく、長期的な政権運営を実現するため弄している手段だ。安倍首相はかつての慰安婦問題を否定すれば、改憲と集団的自衛権の解禁に向け有利な雰囲気を形成し、地ならしをできると計算している。河野談話の有効性を認め、日本が従軍慰安婦を強制連行したことを認めれば、日本は女性の人権を著しく侵害する非人道的な国になる。そうなれば、その後の改憲と集団的自衛権の解禁は、国内外の輿論から支持を得られなくなる。慰安婦問題を認めれば、安倍首相は右翼の保守勢力の前で力強いイメージを失い、改憲や集団的自衛権など安倍首相の一連の戦略に乱れが生じる。安倍首相は右翼の保守勢力の強い圧力を受け、首相の任期を短縮することになる。
それから、慰安婦問題を否定すれば、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になるための条件を作れる。2015年は終戦70周年、国連創設70周年に当たる。日本は長期に渡り、この常任理事国の座を狙っており、これを日本が正式に「世界の大国」になるための象徴的出来事としてとらえている。2015年は国連創設70周年だが、日本などの国は再び安保理改革を叫ぶことになるだろう。慰安婦問題の否定は、常任理事国入りの戦略の一環である。日本は慰安婦問題を否定することで初めて、自国に人権侵害の問題がないことを国際社会の前で「標榜」できるからだ。1993年6月にウィーンで開かれた世界人権会議で、「女性に対する暴力撤廃宣言」が採択された(これは同年12月の国連総会でのことのようです)。同宣言は女性の人権を侵害する行為を批判し、効果的な追及の原則を提唱した。同宣言はまた、日本軍の慰安婦問題は、「戦時中の女性に対する奴隷制度」であり、批判すべきだと判断した。日本は常任理事国入りを目指す以上、慰安婦問題を必死に否定しなければならない。慰安婦問題の罪を背負う国は、常任理事国の仲間入りができない。