中国の衛星航行システムが、国際海事機関(IMO)に承認された。同システムは、「全世界で受け入れられ、米国のGPSと肩を並べる」という目標に向け重要な一歩を踏み出した。ニューヨーク・タイムズ(電子版)が伝えた。
国際海運標準の制定を担当するIMOが11月17−21日に開いた海上安全委員会は、中国の北斗システムを全世界無線航行システムとして承認した。これは中国の衛星航行システムが、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、グロナス(GLONASS)に続く、世界で3番目に国連に認められた海上衛星航行システムになったことを意味する。中国の宇宙プロジェクトと情報戦争に詳しいカリフォルニア大学のケヴィン・ポールピーター氏は、「北斗システムがカバー範囲内で、十分に正確な測位情報を提供できることが認められた」と指摘した。
中国は2000年に北斗システムの実験を開始し、その後さらに発展のため巨額の資金を投じ、米国のGPSと競争し、GPSに対する依存度を引き下げた。中国は政府機関(中国公安部、災害救助、観光などの部門)が、北斗システムを使用するよう規定している。中国はさらに5万隻以上の漁船に同システムを搭載している。これには南中国海の係争中の海域を出入りする船舶も含まれる。
しかしアナリストは、北斗システムはまだ成熟しておらず、世界範囲でGPSと対抗するのはほぼ不可能と判断している。GPSは現在、中国の衛星航行市場の95%を占めている。ポールピーター氏は、「私は(IMOの)発表により、北斗システムの需要が激増するとは考えていない。GPSは数十年に渡り信頼性・正確性が公認されており、端末機器のコストも割安だからだ」と述べた。