日本がオバマ大統領の被爆地訪問を呼びかけるのは、これが初めてのことではない。日本はオバマ大統領が2010年に訪日する前、日程を延長し広島を訪問する意向はないかと打診していた。松井市長と長崎市の田上富久市長は2013年12月、キャロライン・ケネディ駐日米国大使と会談し、オバマ大統領の被爆地訪問を願う文書を提出した。フィナンシャル・タイムズも今年の上半期、日本が安倍晋三首相の真珠湾訪問、オバマ大統領の広島訪問を計画していたが、最終的には水の泡になったと報じていた。
今年4月27日に米ニューヨークの国連本部で開幕した核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議において、日本政府は世界各国の首脳(オバマ大統領を含む)による広島・長崎の訪問を提案した。日本側のこの提案は、最終的に却下された。
日本政府の関係者はオバマ大統領を被爆地に再三招待する理由について、「オバマ大統領は就任後、核軍縮および核兵器のない世界の建設を提唱している。オバマ大統領が広島もしくは長崎を訪問し、核兵器の真の影響を直視することができれば、人々が核兵器の恐るべき結果を意識し、世界の核軍縮を早めることを促すだろう」と述べている。
しかし多くのメディアと日本問題専門家は、この堂々たる理由の裏側には、日本がひた隠しにする政治的な目的があると分析している。日本は自国が唯一の原爆被害国であることを強調し、被害者としてのイメージを際立たせることで、戦争の発動者・侵略者のイメージを薄めようとしている。この歴史を切り裂き、一方的に宣言するような手段に対して、各国は警戒が必要だ。
米国は第二次大戦末期、広島と長崎に原爆を投下し、日本の降伏を早めた。広島と長崎では毎年8月に大規模な祈念活動が開かれ、原爆の展示・教育・宣伝が長期的に実施されている。しかし原爆が日本に投下された歴史的な背景について触れることは少なく、日本から侵略された国が被った損失について取り上げることはほとんどない。
この影響を受け、多くの日本人には自国を被害者とする単純な発想しかない。日本メディアの原爆祈念日の報道も、日本人を第二次大戦の「被害者」として描写しており、日本の戦時中の侵略行為について触れることは稀だ。広島と長崎が原爆を投下された原因について公に議論することは、日本社会のタブーのようになっている。