2つの核大国が剣を握り、世界の世論に見守られながら真っ向から対立するのは、これが初めてとなる。既存の大国、台頭する大国の恨みの炎が燃え盛ることだろう。
中米両国はこのようなことを願っているのだろうか?答えはおそらく、ノーだろう。双方は戦略的に対立する心の備えをしておらず、この備えをするのは両国にとっても容易なことではない。
それでは双方はコントロールの喪失を回避しなければならない。中国が米国の偵察機は来るべきではないと言えば、米国は中国側は見せかけだけでもいいのに本当に遮るとは何事かと言うだろう。どうやら問題は、膠着状態に陥ったかのようだ。
しかしながら理に基づけば、一歩下がるべきは米国だ。この摩擦が生じた空域は、中国の海岸線に近い。米国は「公海」を主張しているが、米軍機による行為は中国の脅威となっている。これは米国が「玄関先」でもめごとを起こしているのであり、中国は一歩下がるほど国土の安全が脅かされる。これは中米が果てしなき論争の後、思い出さなければならない常識だ。
米国は世界での覇権をできるだけ留めようとしており、中国は国家安全をできるだけ留めようとしている。これは同じ緯度・水準の問題ではない。
米国がこの理を受け入れようとしないならば、南中国海の問題は赤裸々な実力の駆け引きになる。中国は仕方なく、付き合うしかあるまい。それならば南中国海の上空で起きることは、米国の覇権と中国の主権の正当性を争う賭け、ゲームになる。理論的には、導火線に火がつけられ、情勢がコントロールできなくなれば、中米は掛け金を増やさなければならない。「玄関先」まで来られた中国は、すべてを惜しまなくなるだろう。そうすれば米国も掛け金を増やす必要がある。太平洋艦隊という掛け金は少なすぎ、十分とは限らない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月20日