オランダ・ハーグの仲裁裁判所は29日、フィリピンが申し立てた南中国海の仲裁手続きの実体問題の裁決を、7月12日に発表すると表明した。
中国政府はこれまで、「フィリピンによる一方的な仲裁申し立ては国際法に違反しており、仲裁裁判所は本件に対して管轄権を持たない。中国は仲裁を受け入れず、参与しない。仲裁裁判所がどのような裁決を下そうとも、いずれも不法かつ無効であり、中国はこれを認めず、受け入れない」と重ねて表明してきた。仲裁裁判所の本件の管轄権および受理に関する問題の裁決は、世界の法学界から疑問視されていた。
仲裁裁判所が29日にウェブサイトで発表した情報によると、本件の実体問題の裁決はハーグ時間7月12日11時頃に正式に発表される。
フィリピンは2013年1月22日、強制的な仲裁を一方的に申し立てた。フィリピンの一方的な申し立てに応じ、5人の仲裁員によって構成された臨時仲裁裁判所は、常設仲裁裁判所を本件の事務局とした。仲裁裁判所とフィリピンはその後、中国の再三の反対を顧みず、仲裁手続きを推進し、裁決を下そうとしている。
中国政府は2013年8月1日、フィリピンが申し立てた仲裁を受け入れないという、一貫した立場を繰り返し表明した。中国政府は2014年12月7日、フィリピンが申し立てた南中国海の仲裁の管轄権問題に関する立場を示す文書を発表し、仲裁裁判所には管轄権がないという中国の立場と根拠を全面的に説明した。この文書は、次のように指摘した。
・フィリピンが申し立てた仲裁の実質は、南沙諸島の一部島礁の領土問題であり、国連海洋法条約(以下、同条約)の調整範囲内になく、仲裁裁判所は審議の権利を持たない。
・中国とフィリピンは二国間協議により南中国海の関連係争を解決することで合意していたが、フィリピンは一方的に関連係争の強制的な仲裁を申し立て、国際法と同条約に違反した。
フィリピンが申し立てた仲裁の内容は、両国の領海線から切り離せないものである。中国は2006年に同条約の規定に基づき、領海線などの事項に関する係争を仲裁を含む強制的な係争解決手続きから排除することを宣言している。
・各国には係争解決方法を自主的に選択する権利がある。フィリピンが申し立てた仲裁を中国が受け入れず、参与しないことには、十分な国際法の根拠がある。
仲裁裁判所は2015年10月29日、管轄権と受理に関する問題の裁決を下し、フィリピンが申し立てた7件の訴えに対して管轄権を持つとし、その他の訴えに関する管轄権の問題については、実体問題の段階にまとめて審議することを決めた。この裁決は各国の海洋法学者から疑問視された。世界の法学界は仲裁裁判所による恣意的な越権行為が、危険な先例を作り、同条約の全体性と権威を損ねることを懸念している。多くの専門家は南中国海問題について、フィリピンが一方的に申し立てた仲裁が係争解決に資することはなく、むしろ対立を激化させるだけだと指摘した。これとは対照的に、中国が主張する協議と交渉による南中国海の平和的な解決こそが、正しい道と言える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月30日