米国の南中国海における戦略的目標は、中国台頭の戦略的空間を狭め、中国の海洋進出の犠牲を拡大することだ。フィリピンやベトナムなどは、米国のこれらの目的のため利用される。両国の中国との衝突は、米国の利益に最も合致する。南中国海が世界の危険地域として固定されるに伴い、各種戦略的要素がここに集まるようになる。そうなればフィリピンは自主性を手にし、自国の意志により中国との関係を調整しようと思っても、それは難しくなるだろう。
海外には、仲裁案に軍事的プレッシャーをかけ、西側の輿論が一体となり中国に圧力をかけるという幻想がある。彼らはベトナムやフィリピンが圧力を受け崩壊するか考えるべきだ。なぜ中国が服従を強いられる側なのか?領土係争には、たいてい2つの手段しかない。一つ目は戦争、二つ目は交渉と協議だ。圧力で結果が出た例などあるだろうか?中国は交渉により多くの周辺諸国と領土問題を解決している。我々は他国を恫喝しておらず、圧力や恫喝を受け入れることもない。
アキノ政権は利口ぶり、米国と協力し仲裁案をこしらえたが、実際には中国と係争を解決する自主性を南中国海の大国の駆け引きという渦の中に捨てており、自国を束縛している。
ドゥテルテ大統領は、中国との関係改善の願いを何度も示しているが、その行動には限りがある。フィリピンはすでに操舵室を出ており、米国が舵手になっている。
中国はドゥテルテ大統領が主導権を少しでも取り戻し、フィリピンの実益を重視し、中国との交渉に戻ることを願っている。しかしドゥテルテ氏がどれほどできるかに関して、多くの中国人学者は楽観視していない。
米国が南中国海問題で、中国と理に基づき話し合うことはない。西側輿論は中米のすべての係争において、ついつい米国側に立っている。長期化する見通しの南中国海の大きな駆け引きを、いかに米国と展開すべきだろうか。中国人のこの概念は、徐々に明瞭になってきている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月8日