安倍政権にとって、現在国内政治面の主要政策目標は、憲法改正を推し進め、日本を「正常な国」にすることだ。改憲を進めるには、ある程度混乱した局面を作り出し、北東アジア地域の緊張状態を維持する必要がある。そうすれば、それを改憲の「合法的」理由にして、国内体制の調整を加速することができる。そのため、これより前に朝鮮が行った核実験、ミサイル発射実験を日本は大いに煽りたて、それを集団的自衛権の行使を容認し、迎撃ミサイルシステム「THAAD」導入を議論する口実にしようとしている。しかし、もう1つの面から見てみると、朝鮮が本当に核兵器やミサイルを保有した場合、日本に対する本当の意味での威嚇になることは必至だ。特に今回の朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル発射実験は、日米ミサイル防衛体制をある程度崩し、日本の本土を直接攻撃することが可能だ。従って、安倍政権に極めて大きな衝撃を与え、不安をもたらした。
現在、米国では大統領選挙が目前に迫り、ポピュリズム的風潮が高まり、国内の政情が不安定である。共和党大統領候補のトランプ氏は、在日米軍を撤退させると日本を脅したこともある。トランプ氏が当選すれば、米国が「孤立主義」に回帰する可能性が極めて高い。米国の勢力は北東アジアから去り、北東アジア地域が力の真空状態に陥り、北東アジア情勢により多くの未知数の事態が生じ、日本にとって極めて不利となる。従って、この大事な時機に、安倍政権が中国政府との関係改善を求め、それによってより多くの外交面の主導権を手にしようとしたことは、日本政府の現在の焦りと自信のなさをある程度反映している。もちろん、会談自体は穏やかな雰囲気を作る意思疎通の形式である。どんな内容について話したにしろ、会わないより会ったほうがいいことは確かだ。(作者は中国社会科学院日本研究所博士課程学生)
「北京週報日本語版」2016年9月7日