アジア太平洋リバランス、フィリピンとベトナムに打破される

アジア太平洋リバランス、フィリピンとベトナムに打破される。

タグ: リバランス フィリピン ベトナム

発信時間: 2016-10-25 13:15:31 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

米国主導の地政学的構造は、フィリピンとベトナムの新たな選択によって打破された。

ほぼ全世界が、フィリピンのドゥテルテ大統領の訪中に注目している。理由は単純だ。フィリピンはかつて、米国によるアジア太平洋リバランス戦略の忠実な実行者であり、南中国海で中国との衝突をこしらえる実行者でもあったからだ。ドゥテルテ大統領は現在、前政権の親米・反中から親中・反米に転向した。フィリピンの外交路線の変化は、米国を不可解・不安にさせており、日本をも懸念させている。

中国に対する立場を変えたのはフィリピンだけではなく、ベトナムもそうだ。ベトナムは南中国海問題でフィリピンほど過激ではないが、間違いなく中国の手強い相手だ。ただし中米の南中国海における駆け引きを前にし、ベトナムの戦略的な考えが複雑化し、政策が多元化している。

ベトナムは中国との島嶼を巡る主権問題で、自制を維持している。しかしベトナムも米国のアジア太平洋リバランス戦略に協力し、かつ米国主導のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の一員にもなった。ベトナムはさらに今月上旬、米艦にカムラン湾の海軍基地への停泊を許可した。

ベトナムが米国と中国の軍艦に対して同基地への停泊を認めたが、これには強い象徴的意義がある。つまりベトナムは、中米の間でバランスのとれた戦略関係を維持しようとしている。注目すべきは、ロシアも旧ソ連時代にベトナムに設置した軍事基地の再稼働を検討していることだ。ベトナムは他国がカムラン湾に軍事基地を設立することを認めないと強調しているが、その大国間でバランスをとる戦略的方針がすでにはっきり示されている。

フィリピンが急転直下で中米関係のバランス化を図り、ベトナムが中米関係のバランスをより安定させようとしているが、そのいずれも地政学の新たな変化を反映している。米国のアジア太平洋リバランス戦略の、周辺諸国への影響力が低下している。あるいは地域各国が同戦略の危険性を意識し、米国の言いなりになるのをやめ、また中国と盲目的に対抗するのもやめたと言えるかもしれない。親米・反中の政策は、関連国の利益に合致しないからだ。フィリピンは最もそれを痛感している。米国に追随した結果、国の安全が保障されず、中国の不興を買ったことで経済・貿易の利益に深刻な損失が生じた。さらに重要なのは、米国が域外国であり、フィリピンへの支持も中国対抗に限られていることだ。フィリピンの内政については、米国から支持を受けることができない。ドゥテルテ大統領は市長時代の鉄腕政策(刑事犯罪と麻薬取引の撲滅)を全国に広げ、米国や西側世界から批判を浴びた。個性の強いドゥテルテ大統領にとって、内政干渉は受け入れられることではない。

ベトナムもそうだ。米国と日本に追随し中国をけん制し、中国への度胸と自信を強めた。ベトナムと中国の間には二千年以上に渡る歴史と文化のもつれがあり、ベトナムは北の強い隣国に対して根深い恐怖感を抱いている。しかし両国間には実際には、似通った価値観がある。南中国海の島をめぐる主権問題よりも、ベトナム政府は米国が自国の平和を変えることを懸念している。米国は地政学レベルでは友人だが、政権運営では恐ろしい敵になる。そのためベトナムにとっては、中米間で戦略的なバランスを維持することが、現実的なやむなき選択になっている。

ベトナムもフィリピン同様、経済・貿易の利益が避けては通れない問題だ。中国はベトナム最大の貿易相手国であり、中国が不可欠な存在になっている。オバマ政権の時代が間もなく終わろうとしており、アジア太平洋リバランス戦略が継続不可能となったばかりか、TPPも流産となる可能性がある。前者の地域各国への衝撃は取り返しがつくとしても、TPPの流産により米国はアジア太平洋の経済・貿易における影響力を完全に失う。ASEAN主要国を取り込むTPPは、米国主導の地域経済・貿易協力枠組みに強い期待を寄せている。オバマ大統領も、TPPは中国による世界経済・貿易ルールの制定の阻止、米国の経済・貿易のリーダーシップの維持が目的と明言している。最悪なことに、米議会はTPPに消極的で、大統領選の候補者2人も反対の立場を明確にしている。

TPP参加国のベトナムは、米国への信頼を失っており、米大統領選後にTPPの批准を決定するとした。米国が頼りにならず、ベトナムは中米という2強の間で新たな選択をしなければならない。

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月25日

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