各者のカード
トランプ政権が最終的にどの選択肢を選ぶかは、各者の反応の程度や反応の方式にかかっている。国際社会はトランプの大きな賭けに幅広く反対しており、関係各者の手中にもカードがあるが、それぞれのカードはどれも良し悪しがある。
パレスチナ人民はすでに街頭で抗議を始めているが、パレスチナ人民による第1次インティファーダや第2次インティファーダの時のような効果を形成することは難しくなっている。アッバス政府には、オスロ合意の破棄やパレスチナとイスラエルの衝突の調停役としての米国の資格の剥奪、イスラエルとの安全協力の停止、ハマスとの軍事協力の構築、武装蜂起の呼びかけなど、重量級の選択肢があるが、どれも自らも痛手を被るものばかりだ。
アラブ諸国の政府はジレンマに立たされており、国内で大きな圧力に直面する一方、米国とは良好な同盟関係を維持しようとするだろう。これらの国の指導者は、内心は恨みに思い、強烈に避難しながら、実質的に米国に対抗することはないはずだ。アラブ連盟や湾岸協力会議などのアラブ諸国の組織は、緊急会議を招集したり、パレスチナ・イスラエル問題の解決にかかわる「アラブ和平イニシアティブ」を撤回したりすることはできるが、音頭を取る国は米国の反応を真剣に考慮するだろう。
欧州は米国との距離をますます広げ、外交的には米国のこの决定を非難する中心的な勢力となっているが、内部には分裂の兆しも生まれている。欧州は近年、イスラエルの入植に対する国際的な制裁としてのBDS運動(ボイコット、投資撤退、制裁)を主導している。スウェーデンなどはパレスチナ国家の承認を開始し、今では世界138カ国がパレスチナ国家を承認している。だが欧州内部には無視できない分裂があり、親イスラエル国家は米国に追随する可能性がある。例えばチェコは、トランプの演説の数時間後には、西エルサレムをイスラエルの首都と認め、東エルサレムを未来のパレスチナの首都とすることとした。
ロシアは今年4月、西エルサレムをイスラエルの首都、東エルサレムを未来のパレスチナ国家の首都と認め、米国を一歩リードすると同時に、歩幅は半歩に抑え、米国を非難する道徳的な優位性を保持している。2015年以降、ロシアの中東での影響力は大きく高まり、米国を牽制し、弱める力を備えている。