米韓は先ほど、2020年の在韓米軍の駐留経費の分担をめぐり協議を3回重ねたが、成果を手にすることはなかった。韓国メディアの報道によると、トランプ政権は協議の結果に不満で、在韓米軍1旅団の撤退を検討しているという。しかし米国防総省のジョナサン・ホフマン報道官は、米軍撤退の報道を否定した。エスパー米国防長官はそのような計画を知らないと述べた。米韓双方の言い分が食い違っているが、これは同盟内部の亀裂を反映している。
米国はゆすりをかけ同盟国に妥協を迫っているが、これは米国主導の安全体制に次の影響を及ぼす。
(一)同盟戦略を重視する米国の伝統を揺るがす
第二次大戦後のほぼすべての歴代米大統領が、同盟関係の強化を外交政策の重点的な内容としてきた。ところがトランプ氏は大統領就任後この流れを覆し、NATO、日本、韓国、サウジアラビアなどの伝統的な同盟国が同盟の義務から逃れていると批判した。これはトランプ氏の「取引的な外交」路線を反映した。
(二)米国の信頼を損ね、同盟国の心が離れる
トランプ氏は就任後、同盟の価値観や制度の合致を求めず、同盟の直接的な管理コストを強調している。米国が世界的な覇権に対する同盟の戦略的な効果を意図的に無視している。
韓国、日本、フランス、ドイツなどの伝統的な同盟国は、米国の戦略的な不確実性を疑問視しており、「自力更生」の内向きな方針を選択することで、米国への安全の依存を弱めることを強いられるかもしれない。NATOとは異なる独自の核抑止力を求めるド・ゴール主義を模倣する可能性がある。メルケル独首相が米国のイラン核合意離脱後に発言したように、欧州の運命は自身の手に握られるべきで、もはや米国の保護に完全に依存することはできない。あるいはドゥテルテ大統領が率いるフィリピンが中国に歩み寄るように、「リスク分散型」の外向きな方針を選択するかもしれない。
トランプ政権は同盟により競争相手をけん制し、同盟内で主導権を握る米国の戦略的な伝統を引き継ぎながらも、駐留経費の分担拡大を迫ることで同盟の安定性を弱めている。従来の安全の脅威が弱まった冷戦後の時代において、米国のこの措置は同盟関係の信頼性と戦略的な名誉をさらに弱め、米国の同盟管理の不確実性を高めた。