新型コロナウイルス感染拡大防止が正念場にさしかかる中、習近平総書記は10日、湖北省武漢市を訪問し、感染拡大予防・抑制状況を視察した。人民日報が伝えた。
武漢市の東湖新城コミュニティで習総書記は、コミュニティのスタッフ、基層人民警察、衛生サービスステーションの医師のほか、現場で執務を行う幹部、ボランティアらと対面した。感染拡大防止期間中、コミュニティ住民の米や油など食料品不足や、下水道が詰まる、ゴミ箱がいっぱいになるなど、細々とした様々な問題を彼らが管理しなければならなかった。1ヶ月以上が過ぎ、彼らのようなコミュニティの予防・抑制チームが働く姿は、武漢という英雄的な都市における独特な光景となっている。
現場で執務を行う幹部である孔祥鋒さんは習総書記に対し、25日間にわたる自身の感染拡大防止の経験を語った。これまではオフィスで資料を作っていた孔さんは、今では毎日住民たちのために食料品を買って届け、あちらこちらを走り回っている。「以前はコミュニティのことをよく知らなかったが、今ではすっかりなじみができたし、コミュニティの住民のほうも私のことをよく知らずに言い合いになったりもしたが、今では笑顔で挨拶ができるまでになった。一言『ありがとう』と言われるだけで、どんなに大変で疲れてもやりがいがあると思える」と孔さんは語った。
そこにいた誰もが話したいという思いを抱えていた。ある人は最初のころ感じた恐怖と心配について語り、「感染することが怖かったし、住民の理解も得られないのではないかと心配した」とし、ある人は感動したり温もりを感じたりした瞬間について語った。1ヶ月以上の経験を通して、住民たちは、災難に直面した際には、一人ひとりが光を発したいとさえ願えば、それが一筋の光であっても、近くの人を照らし、また自分をも照らすのだということを徐々に実感していった。
新城コミュニティに住み、ボランティアをしている「90後(1990年代生まれ)」の謝小玉さん(女性)は、北京の大学に通っており、冬休みに帰省していて都市封鎖に遭った。謝さんは、「家でぼんやりしているよりも、ボランティアに申し込んで、もっと意義のある事をしたほうがいい」と考えたという。習総書記を前にしても、謝さんは若さから来る未熟さなどまったく見せず、その言葉には若々しい情熱があふれていた。謝さんは、「最初のころは人手不足で、感情を爆発させてしまう住民もいた。その時が一番つらかった。でも多くの人がコミュニティのために黙々と働いているのを目にして、また元気が出てきた。物を配達するのは力仕事で、やる気がないとできない」と語った。
習総書記は、「住民の皆さんは自宅での待機時間が長くなり、不満の一つも言いたくなるのは理解できる。誰だってずっと家に閉じこもっていたいとは思わない。我々がこの闘いに勝つためには一般市民が頼りであり、一般市民の支持と参加が必要だ。市民が不満を発散させることに対して、我々はもっと理解し、寛容に接し、許容して、心理カウンセリングや実際の困難の解決など、さらに深く細やかな取り組みを行っていくべきだ。布の表面では千本の線のように見えても、布の下では1本の針で縫われたものだ。一般市民にとって、大小様々な出来事は自分の暮らすコミュニティ内で起こる。ここにいる皆さんこそが臨時の『街の総理』だ。一般市民に奉仕するスタッフとなるには、無味乾燥な対応やとげとげしい態度ではならず、春の風を受けた時のように心が温まるものでないといけない。我々は今後さらにコミュニティでの仕事を重視していく」と語った。
今回の感染拡大防止の闘いにおいて、「90後」や「00後(2000年代生まれ)」たちの姿が見られた。習総書記は感慨を込めて、「これまで彼らのことを甘えた世代だという人もいたが、今見てみると、彼らは苦労や犠牲も厭わず感染拡大防止の第一線を支える主力となっている。感染拡大防止の第一線は、他のどんな場所よりも人が試される場となっている」と述べた。
集まった人々は習総書記に対し、「コミュニティの住民たちはいつになったら武漢の封鎖が解かれるのかを知りたがっている」と伝えた。これに対し習総書記は、「皆さんが指折り数えているのを知っている。武漢の感染状況は徐々に好転してはいるものの、全体的にはまだ安心できる状況には至っていない。これは国民を挙げての闘いであり、国民全体が揺るぎない信念を持ち、互いに協力し合って困難を乗り越える必要がある。堅持することこそが勝利だ。もう少し頑張ってほしい!」と答えた。
「私たちの団地では18日連続で新たな感染者が出ていない。現在では住民は比較的安心しているし、抑制できると信じる気持ちも出てきた。党中央も安心してください」と話すコミュニティの巡視管理員を務める楊銘新さんは、毎日コミュニティの感染状況を綿密にチェックしている。
習総書記は住民たちを気にかけ、「現在住民の皆さんが一番必要としていることは何か?」と質問した。
それに対し、コミュニティ党総支部書記で住民委員会主任の陶久◆(女へんに弟)さんは、「多くの人の願いは一日も早く仕事を再開することだ。例えばタクシー運転手は、仕事をしにいかなければ収入源がない。家にこもっていてとても焦りを感じており、武漢が一日も早く元通りの賑わいを取り戻してほしいと願っている」と報告した。
習総書記はその報告に対し、「一つには感染拡大の予防・抑制、もう一つは経済・社会秩序を徐々に回復させること。この2つの事を統一的に配慮して計画し、秩序良く進めていく必要がある」と述べた。
習総書記は非常に感慨深げに、「武漢には1千万もの人がおり、都市封鎖で感染の拡大を防止することは非常に難しい。この決断を下すのは極めて容易ではなかった。確かに難しい決定だった。その意味からして、湖北省の人々、特に武漢市民が犠牲を払い、重要な貢献を果たしたことは、非常にすばらしいことだ。皆さんは感染拡大防止の闘いにおいて大きな功績を立てた」と述べた。
「ここに来る途中ずっと、武漢市はなんとすばらしい都市だろうと考えていた。武漢は英雄的な都市であり、武漢の市民は英雄的な人々だ。今回の感染拡大防止の闘いにおいて、武漢市民は犠牲を厭わない精神、責任を果たす精神、大局に配慮する精神、そして自ら奉仕する精神を示した。こうした精神はいずれも中華民族の精神の重要な体現であり、我々は必ずきちんと総括し、発揚する必要がある。今回の闘いにおいて、武漢は必ずや再び英雄史に刻まれるに違いない!」と語った。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年3月12日