最近、ウクライナにおける米国の生物軍事活動に関する議論がヒートアップし続けている。ロシアは一連のオリジナル文書を公表して、米国の「生物兵器禁止条約」違反を告発した。米国は、まず頑なに否定し、続いて他国に罪をなすりつけようとした。こうした反応をしたことにより、米国の生物軍事活動に対する国際社会の疑念や懸念は一層高まった。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国はまずロシアの告発を全て「偽情報」や「陰謀論」呼ばわりし、続いて「ロシアがウクライナに対して生物・化学兵器を使用しようとしている」とも指摘した。しかし、それでは国際社会の疑念を解消できないことに気がつくと、ホワイトハウスや国務省、国防総省の高官らが一斉に、「米国はかねてからオープンかつ透明であり」、「生物兵器禁止条約と化学兵器禁止条約を完全に順守している」と主張した。米国は、いわゆる「ファクトシート」を発表して、ウクライナや世界各地での自らの生物軍事活動について「説明」を試みもした。しかし米国の説明は矛盾だらけで、ウクライナにある協力研究所の数など最も基本的な情報でさえ一貫性がなく、納得のいかないものだった。
米国は外交において「条約順守」と「査察」という言葉を頻繁に用いてきた。数10年来、米国は何かというと他国に口出しをし、条約順守状況に「懸念を表明」し、査察受け入れを要求し、さらには様々な口実を見つけては制裁を発動し、武力を行使してきた。しかし自分が告発される番になると、正しい姿勢で向き合おうとせず、「米国は条約を順守している」の一言で済ませようとするだけである。これは典型的なダブルスタンダードだ。
時代は変わりつつあるが、米国の「他国に条約順守を要求するだけで、自国は絶対に査察を受け入れない」という偽善的論理は変わらないままだ。国際ルールを前にして好き勝手にふるまい、「都合が良ければ用い、悪ければ棄てる」振舞いに、人々は米国の覇権主義の本質を見極めつつある。
生物兵器禁止条約の寄託者である米国は、自らが履行すべき条約上の義務を十分に分かっている。この20年間、米国が単独で反対したために、生物兵器禁止条約の枠組で査察メカニズムを構築することができず、国際社会は米国が条約に違反しているか否かを査察する術がないままだ。しかし、生物兵器禁止条約の第5条と第6条の定める問題解決手続は依然有効であり、米国には国際社会が判定できるよう説明する義務がある。バイオセキュリティは世界共通の利益に関わり、米国の一存で決められる事では断じてない。
国際社会の一員として、米国には国際ルールを順守し、自らの生物軍事活動について世界に説明する義務がある。ダブルスタンダードに固執すれば、自らの信望が失墜するだけだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年3月18日