ウクライナ危機がすでに1ヶ月以上続いている中で、NATOは先日首脳会議を開いた。米国と米国が主導するNATOは、いかにして和平交渉を促進し、早期に停戦を実現するかを重点とするべきにもかかわらず、会議の発したメッセージは、人々を失望させるものだった。ウクライナ危機を作り出した国である米国は、戦争責任を反省することも、戦火を消し止める方法を考えることもしなかったばかりか、反対に責任を転嫁して、大量の武器弾薬の提供と極端な制裁のさらなる実施を公言したからだ。火に油を注ぐこのようなやり方は、危機の政治的解決に一層の障害をもたらしており、世界と地域の平和と発展にさらにマイナスの結果をもたらすことになるだろう。米国の様々な行為は、大国のあるべき姿ではなく、覇権国家が危機を作り出すことで自らの覇権主義的目標に役立てようとする惰性によるものだ。(人民日報「鐘声」国際論評)
ウクライナ危機の経緯を観察すると、極めて明らかな時系列がある。まず米国はウクライナにNATO加盟を安易に約束することで、ロシアとの衝突・対立という落とし穴へと誘い込んだ。そして危機が発生すると、米国は「平和維持」を叫ぶ一方で、数億ドルの対ウクライナ軍事支援を大いに実施した。「薪を抱えて火災を消しに行く」といったようなやり方によって、米国はその偽善的本性を余すところなく露呈したのだ。
ウクライナ危機の行方は、米国の行動に大きくかかっている。米国のトゥルシー・ギャバード元下院議員は、「米国はウクライナのNATO加盟を受け入れないと保証するだけで、ロシアとウクライナの戦争勃発を阻止できたのに、わざとそうしなかった」と指摘した。これは、ロシアを封じ込め、欧州の戦略的自立の動きを抑え込み、欧州で崩壊寸前の自らの覇権的地位を維持するという目標に役立てるため、引き続きウクライナを地政学的戦略の駒として利用するのが目的だったからだ。
米国は自らの覇権を維持するために、他国に責任を転嫁することが習慣となっている。ウクライナ危機の発生後、米国は、「事前に知りながら戦争を阻止しなかった」と中国を中傷したり、「ロシアの制裁回避を手助けすれば、中国は重大な結果に直面することになる」と脅したり、「ロシアが中国に軍事支援を要請した」と根拠のない発言をしたり、「中国を含む全ての国に国際秩序の維持」を白々しく呼びかけたりしてきた。中国はウクライナ問題において、正義を主張し、平和を追求し、長期的視点に立ち、常に建設的役割を果たしてきた。中国は事態の緩和と政治的解決に資するあらゆる努力を支持し、外交的解決の促進に寄与せず、火に油を注ぎ事態をエスカレートさせるあらゆる行動に反対している。中国に対する米国の様々な中傷やイメージ毀損は、問題から注意をそらし、機に乗じて中国を抑えつけ、封じ込めるために他ならない。米国の行為は、米国式覇権・覇道の具体的現れであり、冷戦思考が災いしていると言えよう。
平和のための可能性を生み出し、政治的解決のために余地を残すことは、責任あるどの国もが取るべき行動であり、それ以上に大国の責任である。もし本当にウクライナ情勢の緩和を後押しすることを望んでいるのなら、米国は火に油を注ぐことを止め、ほしいままに制裁の圧力を振りかざすことを止め、デマを流して他国のイメージを毀損することを止めて、真に平和と正義の側に立つべきだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年3月30日