米国はロシア・ウクライナ紛争を引き起こした張本人で、そこから利益を得続けている。米国は対露制裁の強化によって欧州の同盟国にそのツケを回し、自分は漁夫の利を得ている。
「エネルギーで儲ける」米国 天然ガス価格上昇に耐える欧州
欧州連合(EU)加盟国はこれまで、ロシアのエネルギーに大きく依存し、原油輸入の約30%、天然ガス輸入の約40%をロシアから調達していた。
ロシア・ウクライナ紛争の勃発後、米国は欧州の同盟国に圧力をかけてロシアへ制裁を加えさせ、ロシアと欧州諸国とのエネルギー関係を断とうと画策。エネルギー需要を米国に移行させ、「エネルギーで儲ける」チャンスをつかもうとした。
米国とEUは3月25日、米国のEU向け液化天然ガス(LNG)輸出を拡大するエネルギー協力プログラムを開始した。金融情報サービス「リフィニティブ」のデータによると、今年3月の米国のLNG輸出量は前月比16%増の約743万トンで、過去最高を記録。米国にとって欧州が4カ月連続で最大のLNG輸出先となり、輸出量の約65%を占めた。
しかし、米国の欧州向けLNGは輸送や貯蔵などのコストが高い上、関連施設の建設も難しい。欧州の需要を完全に満たせないため、欧州諸国は天然ガス価格の高騰を受け入れざるを得ない。
欧州がロシアから原油輸入を削減、価格は高騰
ロシアはサウジアラビアに次ぐ世界第2の原油輸出国だ。ロシアとウクライナの紛争勃発後、欧州諸国がロシアに制裁を加えたため、ロシアからの原油供給が減った。エネルギー取引大手のグンバー・グループは、ロシアからの原油供給がこのまま減少すれば、欧州が「極度の原油不足」に陥り、原油価格の高騰を招くと警告している。
一方の米国は漁夫の利を得ており、ロシアの原油を大量に輸入している。ロシア国家安全保障会議のポポフ副書記は3日、直近の1週間で米国のロシアからの原油輸入量が43%増え、1日当たり10万バレルに達したと明らかにした。