EUとの対露制裁に潜む米国の企み、揺らぐEUの「戦略的自律」

中国網日本語版  |  2022-04-10

EUとの対露制裁に潜む米国の企み、揺らぐEUの「戦略的自律」。

タグ:対露制裁

発信時間:2022-04-10 15:02:59 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ロシアとウクライナの軍事衝突が勃発してから1カ月余りが経過した。今回の突然の軍事衝突は、欧州の安全保障を未曾有の危機に陥れただけでなく、冷戦の「遺産」である北大西洋条約機構(NATO)に善人面をして再登場する機会を与えた。NATOはブリュッセルで3月24日、ロシア・ウクライナ紛争に対処するため首脳会議を開催した。加盟国は会議後に共同声明を発表、ウクライナへの軍事支援を継続し、東部におけるNATOの軍事配備を強化すると明らかにした。一方、米国はロシア・ウクライナ危機の激化を理由に、数カ月前から欧州への米軍増派を進めている。欧州に駐留する米軍は10万人に達し、冷戦終結後最大規模になるという。


 NATOはもともと、冷戦時代にワルシャワ条約機構に対抗する政治軍事同盟だった。ソ連が崩壊しワルシャワ条約機構が解体した後、NATOはすでにその存在意義を失っており、歴史の舞台から退場すべきだった。しかしNATOはロシアを仮想敵国と見なし、いわゆる「大西洋横断関係」の結びつき強化を口実に、米国の欧州における軍事的存在を維持してきた。米国はNATOという欧州への影響力を持続的に注入できる重要な担い手を手放したくないものの、冷戦の終結に伴いNATOが「鶏肋」(たいして役に立たないが捨てるには惜しいもの)になりつつあることは紛れもない事実だ。このため、米国とEU諸国との戦略的信頼関係も度々危機に見舞われている。米欧がいくら大西洋横断関係を強固にする意欲を示し、「価値観外交」を懸命に演じようとしても、現実には米国が頼りにならないことをEUはよく知っているし、米国もEUに過分な望みは抱いていない。


 しかし、米国は欧州情勢に深く関与し続けたいがために、EUが目指す「戦略的自律」の徹底推進を必ずしも望んではいない。2018年、マクロン氏は第一次世界大戦終結100年記念行事で「欧州軍」創設を訴えたが、当時のトランプ米大統領は「米国に対する侮辱」だと即座にツイートした。今、ロシア・ウクライナ紛争の勃発で、米国は欧州への影響力を再強化する「千載一遇」のチャンスを得た。今回のNATO首脳会議で、米国は最大の勝者となった。欧州諸国は軍事費の増額に同意し、米国の軍事費分担の要求にようやく応えた。その一方で、米国はNATO軍の兵力を増強し、欧州に対する支配力を強化した。EUは米国の対露制裁に参加したことで、エネルギー・安全保障の面で米国への依存度を高めざるを得ず、「戦略的自律」へのプロセスも大きく頓挫した。もともと戦争で財を成すことが得意な米国は、今回の対露制裁の一方でEUを牽制し、まさに「一石二鳥」で大きな収益を上げている。


 EUは、冷戦時代の米欧の同盟関係がすでに時代遅れの遺物となったことをはっきりと認識する必要がある。一国主義と覇権主義が米国政府の長期的理念となりつつあるが、これは中国とEUが掲げる多国間主義の価値観と相反するものだ。EUは政治的・経済的に世界で大きな影響力を持っており、米国の従属国に甘んじてはならない。ロシア・ウクライナの衝突においても火中の栗を拾うべきではなく、自国の各分野における独立性を守り、「戦略的自律」という目標の実現を断固として推進すべきだ。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月10日








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