国家機構|中国共産党|多党合作と政治協商制度|司法|香港| 澳門|台湾|宗教|対外関係

対外関係

 

 

 

 

新ミレニアムを迎えて、国際情勢は相対的に平穏ではあるが、安定したものではない。中国は、独立自主の平和外交政策を揺るぎなく実行し、世界構造の多極化を提唱し、経済のグローバル化に積極的に対処し、地域協力に参与し、公正で合理的な国際政治経済新秩序構築および人類の平和と発展の正義の事業を推進することに力を尽くしている。中国の主張と行動は、ますます多くの国際社会の理解と支持を得、中国が責任を担う大国としての役割は、日増しに多くの国々の称賛と賛同を受けている。中国外交は、世界平和を擁護し、国際協力を増進し、覇権主義に反対し、共同発展を促進するために重要な貢献をすると同時に、引き続き自国の社会主義現代化建設事業のために良好な国際環境づくりを進めている。

 

大国との関係強化、各主要大国との良好な発展態勢の維持を重視

改善、発展の見られた中米関係

二〇〇〇年、中米関係は紆余曲折のなかで、引き続き安定的発展の勢いを維持した。中米両国の指導者は、引き続きハイレベルの接触を保ち、両国政府の官僚の往来、科学技術・文化・軍事交流も絶えず増加した。

国連ミレニアム首脳会議およびAPEC(アジア太平洋経済協力会議)非公式首脳会議の期間中、江沢民主席とクリントン米大統領は重要な会談を二回行い、新世紀における中米関係を健全で安定した軌道に沿って前進させることで一致、同意し、さらに両国は安全に関する対話と軍事交流を復活した。

九月十九日、中米双方の努力によって、中国に対する最恵国待遇案が米上院本会議で可決され、中米間の正常な貿易関係が実現した。これによって、米国が二十年の長きにわたって実施してきた、対中最恵国待遇(MFN)を年度毎に審議するというやり方が廃止され、中米経済・貿易関係の発展を長期間制約してきた障害が除かれ、中米経済・貿易協力と両国関係の持続的、健全かつ安定した発展の推進にとって大きな意義を持つものであった。同案のなかの米側が中国に内政干渉し、中国の国益を損なう内容に対し、中国側は米側に厳正な申し入れを行うとともに、断固反対する立場を公に表明した。

十二月十五日、米連邦議会は「総合支出法」を可決し、米国の在ユーゴスラビア中国大使館爆撃による財産の損失に対して二千八百万ドルの賠償金を支払うことになった。

二〇〇一年三月十二日、米ブッシュ新大統領はワシントンで新任の楊潔中国駐米大使と会見した際、米新政権と同大統領は米中関係を十分重視するとともに、両国関係をいっそう促進するために努力したい、と強調した。

米新政権の誕生後、中米両国の最高指導者はずっと連絡を保ち、双方はいずれも、二国間関係を発展させ、各分野における交流と協力をさらに推し進めることに積極的な姿勢をとった。二〇〇一年三月十八日から二十四日まで、銭其 琛副総理が米国を公式訪問した。これは、ブッシュ新大統領就任後、初の中国指導者の訪米であった。滞在期間中、銭其琛副総理は、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、パウエル国務長官、ラムズフェルド国防長官、国家安全保障担当のライス補佐官とそれぞれ会見を行い、中米関係ならびに一部の重要な国際問題・地域問題について、率直に、踏み込んだ意見交換を行った。

訪米終了後、銭其琛副総理は次のような談話を発表した。

中米双方はいずれも、今回の訪問が積極的かつ建設的な成果を収め、双方の相互理解の増進、対話と協力の促進に役立つものであったと考えている。米新政権の誕生後、江沢民主席とブッシュ大統領は、互いに書簡をかわし、中米関係の発展について重要な共通認識に達した。今回の訪米の目的は、米側と両国元首の共通認識を確認し、新世紀における中米関係の健全かつ着実な発展を促進することであった。

中米両国はともに大国であり、両国の間には多くの共通点があり、一部の問題について相違が存在していてもおかしくはない。重要なのは、双方が高所から長期的な展望をもって、相互尊重の基礎のうえに理解を深め、相違点を残して共通点を求め、共通認識を拡大し、協力を促進すべきことである。ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、パウエル国務長官ら米国指導者はいずれも、中国は一つの偉大な国家であり、米政府は対中関係を高度に重視し、米中関係の促進に力を尽くす、と表明し、また両国の発展は世界にとって遠大な影響をもつもので、この関係は建設的なものでなければならない、と表明した。中米関係の発展は、両国人民の利益に合致するだけでなく、アジア太平洋地域、ひいては世界の平和と安定にとって重要な意義をもつもので、中米双方はいずれも、長期的な見識をもって、両国関係を捉え、処理すべきである。

周知のように、台湾問題は、中米関係のなかで最も重要かつ最も敏感な核心的問題である。私は米側に対し、台湾問題をうまく処理してこそ、中米関係は平穏に発展できる、と強調した。米側は、中米間の三つの共同コミュニケ、特に「八・一七」コミュニケを厳格に守るべきで、同コミュニケに基づき、台湾への兵器売却問題は慎重に処理すべきであり、そうすることで、中米関係に深刻な損害をもたらすことを回避すべきである。米側は、長年にわたって歴代の米政府がとってきた一つの中国という政策を、ブッシュ政権も引き続き実行し、米中間の三つの共同コミュニケを守っていくことを表明した。

米国訪問中に、双方はいずれも、近年来の中米経済・貿易関係の急速な発展をバネとし、中米両国がアジア金融危機を克服するなどの問題で、効果的な対話と協力を進めたことに満足の意を表明し、これは両国人民に幸福をもたらし、両国関係の安定的発展の一助となるだけでなく、アジア太平洋地域、ひいては世界経済の安定と繁栄を擁護し、促進するなどの面で重要かつ積極的な役割を果たした、との認識に達した。さらに双方は、中国のWTO加盟などの問題について意見交換を行い、ブッシュ大統領は、中国の早期WTO加盟を支持する、と表明した。

また訪問期間中に双方は、当面の国際情勢と一部の重要な国際問題、地域問題について意見交換を行い、双方は、二十一世紀を迎え、両国が世界の平和と発展に負うべき責任はさらに重いものであるとの認識に達した。双方は、地域の平和と安定の擁護、兵器拡散の防止、環境保護、麻薬、国際犯罪の取締りなどの問題において対話と協力を強化する、と表明した。同時に中国側は、米本土ミサイル防衛システムに対しても、率直に重大な関心を表明した。

台湾問題は、一貫して中米関係の最も重要かつ最も敏感な核心的問題である。二〇〇〇年三月七日、米国防総省は、米国が台湾向けに百六十二基の改良型ホーク・防空ミサイルおよび台湾の現有TPS−43F型防空レーダーをTPS−75V型へと向上させるために必要な装備を売却するための準備をしており、売却される兵器は二億ドルに相当することを議会に正式に通知した。これについて中国側は、米側に厳正な申し入れを行い、中米間の三つの共同コミュニケと関連の約束を厳格に守り、米国の台湾向け兵器売却問題の重大な危険性を十分認識し、即刻誤りを正し、台湾向け兵器売却をすべて停止するよう、強く要求した。六月七日、米国防総省は、台湾のF−16戦闘機の電子制御による対地攻撃能力と低空誘導能力を増強するため、総額二億三千四百万ドルにのぼる両項目の台湾軍向け兵器売却を発表し、六月八日、この件について、駐米中国大使館の何亜非公使が米側に申し入れを行った。九月二十八日、米国防総省は、台湾に対して最新鋭の中距離空対空ミサイル(AMRAAM)など、総額十三億八百万ドルにのぼる最新鋭の兵器・装備の売却を検討していることを明らかにし、年間を通じて米国の台湾向け兵器売却総額は十八億六千七百万ドルもの高額に達することになる。翌日、中国外交部の楊潔副部長は中国駐在プリアー米大使を呼び、この件について米側に厳正な申し入れを行い、強く抗議するとともに、米側が中米間の三つの共同コミュニケと関連する米側の約束を確実に履行し、即刻台湾向け兵器売却計画を取り消すよう要求し、さもなければ、このことによって引き起こされる重大な結果を米側は引き受けなければならないとした。

九月三十日、 外交部の孫玉璽スポークスマンは、米国が四項目の台湾向け兵器・装備売却を計画している件について、中国の厳正な立場を次のように表明した。台湾問題における米国の姿勢は、米国が中国の平和統一の実現を妨害する大きな外部要因の一つであることを示している。米国が引き続き言行不一致で、あくまで台湾に兵器、特に「イージス・ミサイル駆逐艦」や「パトリオット3」弾道弾迎撃ミサイル・システムなどの最新鋭兵器を売却するなら、台湾当局にきわめて誤ったシグナルを送ることになり、台湾のごく少数の「台湾独立」分子が引き続き祖国を分裂させる活動に従事するのを励まし、彼らの鼻息を荒くし、また中米関係を損ない、台湾地区の緊張を激化させることになる。これは米国自身にいかなる利益ももたらさない。米国側はこの重大な危険性を認識し、瀬戸際で思いとどまるべきである。

中米関係はいま、これまで築いてきたものを継承し、将来の発展のために道を切り開くという重要な時期にある。双方がともに努力し、とりわけ米側が「一つの中国」の政策に従い、厳格に中米間の三つの共同コミュニケに基づいて事を運び、特に台湾問題を適切に処理するなら、中米両国関係は持続的に発展していくことができる。

1 | 2 | 3 | 4