広々とした湖面、空と同じ色の湖水、水上を飛び回る水鳥、行き交うたくさんの船……。古くは「雲夢沢」と称された洞庭湖は、これまで数々の詩歌に詠われてきた。「八百里洞庭」と言われるほどの大きな湖だけでなく、湖に浮かぶ島々、千古の名楼、長江に続く浅瀬、湿地で戯れる鳥たちが一体となって、豊かで幻想的な洞庭湖をつくり上げたのである。時代が移り変わろうとも、その魅力は変わらない。
城陵磯 三つの河の合流地
洞庭湖が長江とつながる場所に「三江口」と呼ばれる地点がある。ここは湘江、沅江、長江が合流する地で、洞庭湖もここから長江に流れ込む。地質活動によって石の磯、つまり岩石の多い浅瀬が形成されており、この石の磯が「城陵磯」と呼ばれているのである。大量の泥や砂を含んだ長江の黄土色の河水と透き通った洞庭湖の湖水が鮮やかなコントラストを呈している。