山間をくまなく流れる東河
米倉山を流れる東河は、嘉陵江の重要な支流である。米倉山を四川盆地の東北の端に浮ぶ木の葉に例えると、東河はその木の葉の上の緻密な葉脈。
東河は数十本の支流に分かれ、米倉山の中をくまなく流れる。カルスト地形の発達によってかなりの水流が地下に入り込み、地下河川となっている。洞窟の中から水が流れて出ている場所もあれば、水が洞窟の中に流れ込んでいる場所もあり、断続的な河川が形成されている。
九寨溝の湖が絶世の美玉であるのなら、米倉山の池は美玉に精巧な彫刻を施した芸術品と言えよう。
東河流域には小さな池がたくさん点在する。小さいながらも水は澄み渡り、辺りは静寂に包まれ、独特の趣がある。
長さ3.5キロの珍珠溝に連なって分布する十八月潭は、もっとも大きな池でも数千平方メートル、ほとんどは数百平方メートルほどの大きさで、滝やせせらぎによってつながっている。この池と池をつなぐ滝やせせらぎは、山が急速に隆起した歴史の表れであるという。