劣勢を挽回するために野田首相は、10月1日に内閣改造を行い、田中真紀子氏を文部科学相に任命した。その高い知名度を利用することにより、次回の衆院選挙で巻き返しを図りたい考えだ。野田首相による田中氏の起用は中日関係改善のシグナルだと日本のメディアは評している。田中真紀子氏は、中日国交正常化を実現させた故田中角栄氏の娘であることから、中国高官との人脈が豊富なのだ。
では、どうしてこのような変化が生じたのだろうか。それは、中日経済戦の威力が浸透してきているためだと思われる。
アメリカで2番目に大きな金融サービス組織のJPモルガン・チェースが10月8日に発表したレポートによると、釣魚島の領土紛争によって日本の第4四半期のGDPは0.8パーセントのマイナスになり、国際収支黒字が下振れするとした。原因として、輸出の減少に加えて中国からの日本観光客数の大幅な減少を挙げる。
JPモルガン・チェースはまた、第4四半期のGDPが前四半期比で0.8%のマイナスとなることの深刻さを指摘する。つまり、昨年に続き、二年連続でマイナスになるわけで、弱体化する日本経済に対する打撃は計り知れないのだ。
日本国民は考えるだろう。釣魚島のために一番の貿易相手国の恨みを買い、その結果として富を得る手段が絶たれることは本当に得策なのかと。日本のほとんどの民衆にとって、これこそ大きな災難だ。原発事故が収束しきれていないうちに、今度は釣魚島で原発事故並みの災難が起こってしまう。
JPモルガン・チェースは、釣魚島の争いによって3400億ドルに上る中日両国貿易が危機に瀕しているという。「グローバルな実力を身に付けた中国は、日本の国際貿易において重要な地位を占めている」とレポートは記している。「いまだに様々な不確定要素があり、また、より深刻になるリスクをはらんでいるとはいえ、両国の新政府の指導により、半年内にこの問題は緩和されるだろう」。このレポートが発表される前、モルガン・スタンレーとBNPパリバも、第4四半期の日本経済は前期に続き縮小すると予測している。
JPモルガン・チェースのエコノミストは、「2005年以降で最も厳しい中日外交危機であり、日本の経常収支の悪化を加速させるかもしれない。今年1月の予測では、2015年の第1四半期に貿易収支が赤字となるとされていたが、これが2014年末に速まる可能性がある」と分析する。
8月の日本の輸出額は、前年同月比で5.8%減少となった。3か月連続の減少である。そのうち最大の貿易相手国である中国への輸出は9.9%の減少で、(日本人は「中国貿易で打撃を受けてもEU市場で取り返せる」というが、実際には)EUへの輸出は22.9%の減少だった。
三菱自動車は10月5日、9月の中国市場での販売額が前年同月比で65%のマイナスとなったと発表した。同日の「読売新聞」の報道によると、トヨタ自動車は前月比で50%のマイナスだった。
JPモルガン・チェースは、2011年と2012年の第1四半期の平均値で比較した場合、2012年に日本へ訪れた中国人観光客数は70%の減少となると予測する。日本の観光収入は670億円の減少となり、輸出損失の38%を占めることになる。
一般的に言って、経済戦の威力は数か月から半年で明らかになっていく。現在のこの状況ははじまりにすぎない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年10月14日