蒼山雲峰の神摩山のふもとあたりには、樹木の中の石洞から泉の水流れ出て深い池となり、池の面積は約20平米である。これが有名な胡蝶泉である。泉は周囲を大理石に囲まれており、現代中国の詩人、歴史学者郭沫若が揮毫した胡蝶泉という3つの字がある。樹齢百年のあるネムノキが泉の上に横たわるようになっており、日の光を遮ってくれているようである。泉の水は透き通っており、泉の底の石や観光客が投げた硬貨の数を数えることができる。春、夏、秋、初冬に色鮮やかなチョウチョウがこの一帯に飛んできて咲き誇る花の間を舞うように飛んでいる。明代の旅行家徐霞客の旅行記の中には次のようなことが書かれている。泉の上に大木があり、四月になると、咲き始めた花がチョウのようで、その花弁は本当のチョウと見分けることが難しい。さらに本当のチョウが何万もいるようで、大木の枝にとまり泉の水面の上に逆さになってぶらさがっているようで、色鮮やかである。胡蝶泉はそれがゆえに有名になり、そのうえ美しい伝説があるため、世人に知られるようになった。昔、若者の霞郎と雯姑は恋人同士だったが、雯姑は愈王に奪い去られた。霞郎は宮中にもぐり込んで雯姑を救い出したが兵士に追いかけられ、この池のほとりまで逃げてきて、二人は入水して死に、美しいチョウに姿を変えたと伝えられているため、この泉もそれにちなんで胡蝶泉と名づけられた。
「チャイナネット」2001年8月17日