記者 ABACはどのようにしてAPECの活動を推し進めているか。
秦暁 ABACは1995年11月に設立され、その初志は企業からの声を反映させることであった。周知のように、地域の経済貿易自由化のプロセスを推し進める中で、企業は原動力で、指導者と政府担当官は企業についての政策を制定する際には企業の声に耳を傾ける必要がある。
ABACは、21のメンバー国・地域から構成され、各メンバー国・地域は代表が3人おり、3人の代表の中には中・小企業代表一人が含まれ、代表は各メンバーの指導者によって任命され、主な任務は毎年、提案に基づいて貿易目標のプロセスの状況を審査することである。ABACの役割は主に最後に検討が行われてから関連指導者にレポートを提出し、政府が企業界の反響を知るようにすることにある。
記者 25件の提案をめぐって、ABACと指導者たちとの話し合いの内容を紹介していただけるか。
秦暁 指導者たちとの話し合いは主に先月行われた検討のレポートに基づくもので、同レポートはそれぞれのメンバー国・地域の代表がその国・地域の指導者に手渡している。直接に話し合って検討する内容には五つの面の問題が含まれる。全般的に言えば、組織分野のことである。組織の目標は「ボゴール宣言」のプロセス問題に対する検討の概括である。具体的に、一、投資貿易。二、金融分野。三、技術。四、中小企業。五、監督などがある。この五つの面は、市場開放の進展の状況、スキルの建設(人的資源、マクロ・ミクロ管理を含む)の状況、APECのプロセスの参与が広範なものであるかどうかという三つの「状況」をめぐるものである。すなわち、大型企業が参与するだけでなく、中小企業も参与すべきである。都市経済関係の人が参与することができるだけでなく、公衆も参与することができ、その上、参与するだけではなく、貢献をし、その中から利益を受けるのである。
記者 経済のグローバル化の面で、ABACは今回の会議でどのような提案をおこなったのか。そのほか、金融リスクに対し、ABACはどのような予測を打ち出したのか。
秦暁 経済のグローバル化は時代の流れと必然的な趨勢であり、各メンバー国・地域は関心を寄せ、資源流動の加速、資源効率の向上にとっては重要な条件である。しかし、経済のグローバル化は自然発生的な過程であるべきでなく、目的があって、バランスがとれた、協力の過程であるべきである。周知のように、金融市場は非常に脆弱なものであり、金融市場の激動、潜在的な危機はわれわれが関心を注いでいる問題である。われわれは金融市場の開放を奨励するとともに、金融市場の安定を重んじなければならない。いかにそれを実現することができるか。スキルの建設、人的資源、秩序、コーポレート・ガバナンス、銀行の監督・管理を強調してこそはじめて、金融市場全体が健全で秩序整然と発展し、反復が起こることがないのである。しかし、金融危機は予測不可能なものであるため、当面の国際資本市場、外国為替市場に関心を注がなければならない。ABACの調査・監督・反映としての役割はここに具現されている。
記者 ABACは経済が不安定な時における商工業界の対応について指導者に提出したかどうか。今回は中国の経済企業の面の内容に触れたのかどうか。商工業界の代表としてAPECについてどんな期待をもっているのか。
秦暁 ABACの使命は貿易目標の実現の促進と貿易自由化のために情報を提供することである。中国は21メンバー国・地域のホスト国であり、経済状況がわりに良好な国である。聞くところによると、今回の会議の期間に多くメンバー国・地域の企業、投資家が中国に来る重要な目的は中国の投資環境を視察することにある。
APECへの期待としては、一、今年は経済状況の望ましくない状況の下で「ボゴール宣言」実施の公約を重ねて明らかにすることができるかどうか。二、会合を通じて、APECのプロセスを推し進めるよう望むだけでなく、また、金融危機に対応するなど経済状態を改善することも望んでいる。
ABACが提案したビジネス旅行カードが今年実施された。中国外交部は中国が今年、ビジネス旅行カードに加入することをまもなく公表する。これは国家経済貿易委員会などの部門、団体が共同でそれを促したため早めに実施することができたものである。かなりの度合いにおいて中国のビジネスマンが国際の往来のために便宜がもたらされることになる。
記者 APECの貿易自由化と経済技術協力は「2の車輪が同時に回転する」ことであるとたたえられているが、実際の状況は貿易自由化がよく強調され、実施されているのはなぜであるか。
秦暁 経済貿易区は経済実体化されている。実体化は二つの段階に分かれている。一は、市場と協力で、協力は多国籍投資のグローバルなパートナー、計画内の経済のもとにおける分業と資源配置の協力を指す。市場化は市場の開放を通じて実施される。もう一つは、政府の行政介入を通じて、計画経済体制が含まれるため、完全に足並みがそろうのは不可能である。そのため、ABACは「市場開放、スキル建設、全面的な参与の三位一体化」を強調し、三者のうち一つが欠けてもいけない。
「チャイナネット」2001/10/19