紅珠山は四川省の峨眉山報国寺のそばにある瑜伽河の右岸にあり、岩石も土も赤色を呈するいくつかの小山からなっている。
紅珠山は仏教と道教の伝説によってこう名付けられた。羅漢さまの生まれ変わりといわれる僧が南海から峨眉山詣りに来る途中、念仏を唱えながらじゅずの珠玉の数を数え、山の麓に着くと、うっかりして七つの珠玉を落としてしまった。この七つの珠玉はそのとたんに七つの小山に姿を変えた。数年後、そのうちの六つの山はスギ、クスノキ、マツ、コノテガシワなどの木々に覆われ、真中の一つだけが赤色を呈し、草さえ生えなかった。
紅珠山についてもう一つの言い伝えがある。『封神榜』という作品の中でよく知られた趙公明元帥は、黒い虎にまたがって山を下り、同門の女弟子の雲霄、瓊霄と碧霄の仇を討とうとした。彼は海を鎮めるための24個の神珠を空に向って投げ、これらの神珠は陸圧道人によって袖の中に収められ、ただ1個だけが山の麓にころがり落ち、たちどころにちりとりのような大きさの赤い土地に変わった。これは神珠によって残された天の遺跡だといわれている。
1958年に、中国共産党楽山地区委員会はここに紅珠山招待所を設け、1977年にその名を紅珠山賓館に変えた。また、紅珠湖という人造湖もつくられた。
紅珠湖は面積が2万平方メートルもある。山々が緑に覆われ、優雅で美しい。山の西側と北側は、濃い緑の蘿峰頂と青緑色の鳳凰坪が紅珠湖を囲み、紅珠山と水を隔てて向かい合っている。南側は、花のにおいが漂い、小道が曲がりくねって延びている。木々が生い茂っている森は、1棟1棟の別荘とコントラストをなしている。湖畔にはシダレヤナギや細い竹が植えられ、湖に幾分の詩情を添えている。紅珠湖はこの緑の森にちりばめられた輝かしい珠玉のように見える。
天気が晴れれば、太陽の光が森の隙間から射し込み、湖の周りは緑がいっぱいに見える。小道や光、空気さえ浅い緑色を呈し、緑の世界になる。
朝と夕方になると、季節の移り変わりによって、小鳥がさえずり、セミや虫が鳴き、黄色い落葉が舞い上がり、涼しくて気持ちがいい。青い山峰や白い雲、小さな鳥、シダレヤナギ、竹、建物、石橋などがはっきりと湖面に映り、すべての美しさを湖の中に収めたようで、色彩が大変豊富に見える。
「山色千重眉鬃緑、鳥声一路管弦同(山色千重にして眉鬃緑あり、鳥声一路管弦と同じなり)」(趙朴初)、「霜寒林壑依然緑、雨霽峨眉分外青(霜寒く林ふかくして依然として緑なり、雨のふる峨眉山ことのほか青みがかる)」(凌雲)などの対句はそれぞれ紅珠湖の春と秋の緑を詠み、この緑に対する親しみを描いたものである。
「チャイナネット」2002年5月20日