投資総額1300億元以上、設計時速350キロ、初期の運転時速300キロ。北京から上海までわずか5時間。3日、鉄道部が「京滬高速鉄道(北京・上海間の高速鉄道)は年内に着工し、2010年開業を目指す」と発表し、強い関心を集めている。
■京滬高速鉄道の技術体系は?
中国国内の設備製造業のうち、機関車車両工業は、自らの開発に頼って需要をまかない、輸出も実現した数少ない業種だ。しかし中国の旅客車両の現在の最高時速は200キロに留まっているが、京滬高速鉄道の設計時速は一挙に350キロにもなる。中国の高速鉄道建設では、どんな技術体系を採用するのか?
鉄道部総設計士の何華武は記者の取材に対し「現在、全世界に時速250キロ以上の高速鉄道はのべ6300キロ程あり、多くの成熟した技術がある」と述べた。しかし、ドイツ、フランス、日本の高速鉄道とは異なり、中国の京滬高速鉄道は、南北方向、東西方向各4本ずつの幹線鉄道をバックボーンとする、中国鉄道網の一部となる。つまり、同線を走る列車は設定時速300~350キロの北京・上海区間だけを走るのではなく、さらに設定時速200~250キロの他路線にも乗り入れる。このため、鉄道網の総合的な調整系統に、より高い水準が求められる。
こうした独特かつ複雑な鉄道網の構造のため、京滬高速鉄道が外国の経験をそのまま使うことは不可能になった。むしろ国産主体とし、自主開発を進め、中国が知的財産権を有する高速鉄道技術の体系を形づくらねばならない。
京滬高速鉄道は、スタートラインから高水準を目指し、世界の最先端に狙いを定める。そして中国の鉄道が数十年にわたって蓄積した経験と資源を充分に利用し、独自技術の開発、既存技術の組み合わせ、消化・吸収した技術を土台にした二次的な開発に力を入れる。このうち、線路、橋梁、トンネル、排水路などの技術は、オリジナルの開発により、完全に独自の技術標準を作り、知的財産権を掌握する。通信、信号、牽引と電力供給システムは、既存技術の組み合わせによる開発を目指し、中国の旅客専用線向け統合システムの基準や要件を満たす。運行管理と旅客サービスは、中国の旅客専用線に見合った独自システムを作る。
高速列車の分野では、中国が自主的に研究開発した「中華之星」が既に時速300キロ以上に達しているが、高速鉄道での長時間運行するには、まだ不足点が多い。そのため、鉄道部は高速列車の導入、消化、吸収において「1・2・7モデル」を採用した。これは、1割は車両全体の輸入、2割は部品の国内組み立て、7割は国産化で車両をまかなう、という意味だ。同時に「先進技術を導入し、合同で設計・生産して、中国ブランドを作る」要求に照らし、技術の消化、吸収の後、再び独自開発を目指す。
2010年の京滬高速鉄道完成時には、中国は高速鉄道の完全国産化が実現するだけでなく、列車の型のプラットフォーム技術についても会得するだろう。世界の最先端技術を持ち、中国の自主ブランドであるCRH(中国高速鉄道)の機関車も発表する。
「人民網日本語版」 2006年4月6日