| 「長調」は蒙古族特有の歌唱様式で、中国の民間文化遺産である |
「長調」と呼ばれる民謡は、遊牧文化と地域文化の鮮明な特徴を有する独特な歌唱の様式である。その明らかな特徴の一つは、「歌詞は少なく、節回しが長い」ことである。曲調はゆるやかで悠然としており、婉曲で抒情的に歌い、音域は広く、変化に富む。 中国の史書によると、2000余年前の匈奴の時代に、はやくも「長調」あるいはその前身の歌が、すでに北方の草原で流行っていたという。「長調」の多くは、牧畜民や駿馬、草原の愛をテーマとし、祝祭日や婚礼、宴会、親戚友人の集い、ナーダム(競技会)に、なくてはならない演目だ。その内容や機能、歌う場所によって、「長調」は牧歌、故郷を想う歌、賛歌、婚礼歌、宴会歌(酒歌)などに分けられる。 2005年11月25日、中国政府とモンゴル国政府が共同で申請した蒙古族の「長調」民謡は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産リストに登録された。 元の上都遺跡 | 元の上都遺跡 |
内蒙古自治区ドゥンドホト(敦達浩特)鎮の北東約10キロのところに、俗に「ナイマンスム(奈曼蘇黙)城」と呼ばれる場所がある。これはモンゴル語で「108の廟」という意味で、元の憲宗6年(1256年)から建て始められ、開平府と名付けられたが、後に上都と改められ、また上京、欒京とも言われた。 1260年、元の世祖フビライは、「汗」を称し、ここに都を定め、「大元帝国」を建てた。フビライは3年間かけて、巨費を投じて上都開平城を築いた。そして都を大都(北京)に移してから、ここを陪都(副都)とした。 元の上都遺跡は、一辺の長さが2200メートルの正方形をしており、内から外へ宮城、皇城、外城の三重の城からなっている。その中で宮城は、建築全体の中で一番大切なものであり、皇帝と皇后たちが避暑をする場所であった。 ナーダム | 大草原で開かれたナーダム大会 |
ナーダムは、モンゴル語で娯楽またはゲームを意味する。ナーダム大会は、年に一度、草原で開かれる蒙古族の伝統的な祭りで、ふつうは7、8月に開催される。 蒙古族は、尚武の民族である。チンギスカンは、勇敢で機知に富み、頑強な人を養成することを重視し、騎馬、射箭、角力(モンゴル相撲)を「男子の三芸」と言い、兵士や大衆の素質を高めるための訓練の内容にした。今、「男子の三芸」はナーダム大会での主な競技種目となっている。 ナーダム大会は非常に盛んで、開会の時期になると、10キロから100キロ以上の範囲に住んでいる牧畜民がみな祝日の盛装をして、老いも若きも一斉に、パオや日常の生活用品を持って、車や馬で祭りに赴く。商売者たちは、遠近を問わずやってきて、店を開き、日常用品を売ったり、畜産物を買い付けたりする。そのため、日ごろ静かな草原は、喜びに溢れるのだ。 |