資金の銀行離れ進む、マクロ調整が困難に

人民网  |  2007-10-24

資金の銀行離れ進む、マクロ調整が困難に。経済参考報によると、中国社会科学院金融研究所の李揚所長はこのほど、銀行システムから資金の流出が続き、マクロ調整が困難になりつつあると指摘した。銀行業と資本市場の双方を発展させようとすれば、資金が証券市場に流れ、銀行離れが進む懸念がある・・・

タグ:資金 銀行 マクロ調整

発信時間:2007-10-24 19:13:35 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

~中国社会科学院金融研究所、李揚所長に聞く

経済参考報によると、中国社会科学院金融研究所の李揚所長はこのほど、銀行システムから資金の流出が続き、マクロ調整が困難になりつつあると指摘した。銀行業と資本市場の双方を発展させようとすれば、資金が証券市場に流れ、銀行離れが進む懸念がある。

李所長は、いわゆる銀行離れの定義について、預金者と投資家が銀行などの仲介機関を通さず、直接資金取引を行うことを指すと解説する。銀行離れの原因には3つある。まず、市民の立場から見ると、収入が増え、高利回りの投資かつポートフォリオの多様化を好む傾向が表れている。次に、企業が利便性の高く、低コストの資金調達手段を求め、債権、株式、コマーシャルペーパーなどで資金を直接調達していること。そして、ファンドなど資金管理機関がさまざまな金融商品を開発し、さまざまな手法で収益を上げていることが挙げられる。これは中国の経済成長の現実を反映したもので、中国の銀行業が直面する状況だ。

李所長は「昨年末から今年初め以降、中国の通貨統計では2つの指標をめぐる逆転現象が見られた。それはM1(現金と当座・普通預金、狭義のマネーサプライ)の伸びがM2(M1+定期預金など)の伸びを上回っていることだ。過去には一般的にM2の伸びがM1を上回ってきた。こうした動きは銀行の財務構造の変化を潜在的に反映している。M1の増加は、直接的な資金調達の増加と関連がある。資金を銀行から引き出し、株式やファンド、外国市場に投資する流れだ。こうした変化は注目に値する。

同時に銀行の預貯金、融資にも傾向的な変化が見られる。今年から融資残高の伸びが預金残高の伸びを上回った。以前は一貫して預金の伸びが上回っており、融資の伸びにも対応できていた。このため、バランスシート中の不良資産も表面化しなかった。しかし、預金の伸びの鈍化に伴い、銀行資産に関わるさまざまな問題が表面化する可能性が出てきた。中国の銀行業にとっては、非常に大きな試練となる。

再び、銀行と顧客の関係を見てみよう。近年、企業の自己資金による投資が増えている。過去には企業が銀行からの融資に頼っていたが、現在は企業は銀行に融資を求めなくても投資が可能になった。このため、投資をコントロールする目的で銀行融資を管理しても、効果は限られる。また、地方政府と中央政府による歳入も伸び、公共投資も拡大している。資金は銀行システムという媒介を必要としなくなっているのだ。

李所長は、資金の銀行離れでマクロ調整や銀行業界の発展には困難さが増していると指摘する。歴史を振り返ると、米国は30年間にわたる資金の銀行離れを経験し、苦しい調整期間を経た。中国も今、同様の段階に入ったと言える。

「人民網日本語版」2007年10月24日

Twitter Facebook を加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集     中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで