国民経済における証券市場の地位は、主に金融業における証券市場の地位及び経済のバロメーターとしての証券市場の役割によって決まる。国際市場では、一般的に証券業と銀行業の重要性に基づいて、一国の金融システムのタイプを判断している。証券市場が発達し、証券業の規模が銀行業を上回っているのは「市場主導型」金融システムで、それに対して、銀行業が発達し、銀行業の規模が証券業を上回っているのは「銀行主導型」金融システムである。
アメリカは典型的な市場主導型金融システムをとっている。アメリカの株式時価総額は銀行業総資産の2倍以上に上り、1998年に、アメリカのミューチャル・ファンドの純資産はすでに銀行業の総資産を上回っている。同時に、アメリカの証券市場は発達し、整備された多次元の資本市場であるため、アメリカの証券市場はその経済のバロメーターであると言える。
しかし、現在、中国は依然として「銀行主導型」金融システムをとっている。中国の銀行業の総資産は株式時価総額の2倍を上回っており、流通可能な株式時価総額の6倍を上回っている。ましてや、証券投資基金の純資産額は銀行業の総資産額の二十五分の一に過ぎない。これは典型的な「銀行主導型」金融システムであり、向これから先のわずか3-5年の間に、中国の金融システムが「市場主導型」の構造に変わることは不可能である。
中国の銀行業と証券市場を比べてみると、中国経済が数年連続急成長をとげ、株式価格と不動産価格が急騰し続けている現在の状況の下で、中国経済が過熱しているかどうかを判断する根拠は、証券市場ではなく、銀行貸付の伸び率である。現在、中央銀行は何度も公定歩合や利子を引き上げ、銀行の貸付にも制約を加えている。これは管理層が現在の状況を冷静に見ていることを裏付けている。
「チャイナネット」2007年10月26日