人民元改革から3年が経ち、上昇速度は速まる一方の人民元は、この先いつまで上昇が続くのか予測するのは極めて困難だ。今年、とめどないホットマネーの流入は史上空前の人民元レート上昇をもたらした。レート改革以来の人民元対ドルレート上昇率は既に15%、今年に入り3カ月も経たないうちに、3.6%も上昇している。現在のこのペースは既に06年通年の上昇速度を超え、昨年の通年の上げ幅の半分をも上回っている。今年通年の人民元の上げ幅は8-10%となる可能性もあり、これほどハイレベルかつノーリスクである収益率が、ホットマネー流入の一因であることは否定できない。
しかし同時に、中国はインフレリスク突入の危機にさらされている。先月、CPI(消費者物価指数)は8.7%増となり、11年振りの記録更新となった。インフレリスクに対向すべく、昨年、中央銀行(中国人民銀行)は計6回にわたる基準貸付利率引き上げを行ったものの、中央銀行行長は「さらなる引き上げの可能性がある」と述べている。一方米国は昨年9月より同じく6回にわたる利率引き下げを行い、FRB基準貸付利率は2.25%に低下、中米両国の利率の差は1.89%に拡大している。元高と高利率に支えられ、中国市場に流入するホットマネーは年初以来10-12%の収益率を享受、投機資金が中国市場に向ける眼差しは熱を帯びる一方だ。
日本などの国は自国通貨レート上昇過程において、良好な長期利率が吸引材料となり、長年にわたりホットマネーが流入し続けている。レート上昇初期には手探り状態であったのが、瞬く間にホットマネー流入を加速させている。専門家は、中国が同じような段階に突入し、今年、ホットマネーのもたらす脅威が突然巨大化することを懸念している。
既にホットマネー大量流入の「兆候」の兆しはさまざまな形で現れている。ホットマネー流入の規模について予測を立てるのは極めて困難だが、昨年以来、中国国内の外貨準備高は実に86.7%もの増加を記録している。さらに貿易黒字、および外資系企業による直接投資以外の「その他外貨流入」も20倍となり、昨年は1320億ドルと、昨年通年の外貨準備高新規増加分の28.6%を占めた。左記の中には海外からの融資、個人および企業利益のリターン分なども少なくない。しかし、実に20倍ともなった「その他外貨流入」をこれらの要素だけで解釈するのは容易ではなく、その中に占める「流動的部分」がどれほどなのか、これがホットマネーたるものの最大の懸念材料だ。
|