2007年から2008年にかけて、穀物が戦略的物資なのか、それとも営利商品なのかといった討論が世界各地で繰り広げられている。国際穀物価格がこの1年間で50%以上上昇したことを受けて、穀物の安全・安定が数年ぶりに世界的な課題となっている。
インドは過去10数年にわたり、一貫して穀物を自給し続け、国連世界食糧計画(WFP)に穀物の自給問題を解決したモデルと評価されていたが、07年にはオーストラリアから小麦300万トンを輸入し、08年初頭には今後も小麦輸入を続け、備蓄を増やし、国内価格を抑えると宣言した。これは誰にも予想できなかったことだ。インドの人口は11億人で、うち3分の2が農民だからだ。インドのある経済学者は「これまでは6千万トンの穀物備蓄を誇っていたが、備蓄はまもなく底をつく」と話す。このほかバングラディシュも07年8月に米国から小麦を輸入しており、1999年以来初めての米国からの小麦輸入となった。
アフリカでは60%以上の国が穀物問題に頭を痛めている。たとえばかつて農業大国だったアンゴラは、穀物が自給自足できただけでなく、輸出も大量に行っていた。だが激化する内戦は農業生産を破壊し、同国の穀倉地帯だった地域は今では最も激しい戦闘が繰り広げられる激戦地となり、ここ数年は穀物が自給できなくなっている。
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