ギリシャ危機で欧州の弱点が浮き彫りに

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発信時間: 2010-05-11 15:00:01 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

先日ギリシャを取材したドイツ『ビルト』の記者も、ギリシャ人の天性の遊び好きは少しも変わっていないと報告している。「メルケル(ドイツ首相)には言うなよ。まだまだ楽しみたいんだから」とバーに入り浸りる生活を続けるギリシャ人は、記者にそう冗談を飛ばした。

ドイツ人のギリシャ人に対する怒りは今に始まったことではない。倹約家で通っているドイツの有権者は、浪費癖の道連れを助けるために自分たちの政府が資金を出すことを容認できない。3月初頭に『ビルト』はパパンドレウに公開書簡を送り、ドイツ式の仕事の進め方や就業態度を学ぶことをギリシャ人に提案している。67歳まで仕事を続けてやっと定年になること、公務員は14カ月分の給料がないこと、一日中休まず働いていることを書簡の中で説いた。その後、ドイツの政治家2名が同じく『ビルト』に寄稿し、ギリシャは島を売ってでも借金返済するべきだと主張した。3月末には『フィナンシャル・タイムズ』にドイツの大学教授4名が「ギリシャが去らないなら、ドイツが去る」という題の投書を行い、ユーロ圏を脱退することをギリシャに要求した。投書の中ではさらに、ギリシャへのドイツの支援がマーストリヒト条約の「不支援」規定に反するものだったら、迷うことなく憲法裁判所に訴訟を起こすと警告している。このほかドイツの週刊誌『焦点』2月第一号の表紙にはなんと、ミロのビーナスが腕を出し、中指を伸ばす絵が掲載されている。題名は「欧州大家族のペテン師」。これに憤慨したギリシャ議会の議長は自ら抗議書簡を寄せ、ドイツの武器製造業にとってギリシャは毎年高額の軍事費で武器を購入する重要な顧客であり、それは欧州の外界との境界線を守ることに使われていると反論した。アテネ市長もメルケル・ドイツ首相に、第二次世界大戦時のドイツによる罪業を指摘した。二つの村が殺戮され、未だ戦争補償が行われていないという主張である。これに対し、ドイツARDテレビのニュースキャスターを務めるトム・バフルは逆に、「これが欧州の未解決問題の全てだというのか? 借金の肩代わりを頼めないと分かったら、今度は過去の古傷を持ち出すなんて」と激しく反駁した。

ギリシャとドイツのつばぜり合いによって、財政危機は政治問題に発展した。英国『フィナンシャル・タイムズ』の副編集長フィリップ・ステファンスは4月29日の記事の中でこう指摘している。「欧州の団結はギリシャの財政危機によって揺らぎ、国益争いの中で欧州は解体されようとしている。ギリシャ人が思うままに浪費することによって、ドイツ人の持つ優越感がくじかれたのだ。しかし本当に憂慮すべきことは、通貨同盟が存続の拠り所としていた政治的信頼と相互支援体制が根本から崩壊しつつあること、そして一連の出来事によってユーロ圏の指導者の無能さが浮き彫りになったことである」。

一方マスコミもユーロ圏の未来を楽観視しておらず、ギリシャ以外にも、ポルトガルやスペイン、イタリア、アイルランドによって欧州が混乱に陥れられることを懸念している。今年初頭には、もの好きな人々がこれら五国の頭文字をとって「PIIGS五国(ブタ五国)」と呼んだという下世話な話もあった。英国『デイリーテレグラフ』は2日、ギリシャの経済規模はユーロ圏GDP総額の3%に過ぎないが、時を同じくして苦境に立たされている「PIIGS五国」を合わせると同GDPの三分の一に達し、ドイツの経済規模を上回ることを指摘した。また英国の投資会社ピムコ(PIMCO)の首席執行官エル・リアンはインタビューで、ギリシャは既に欧州経済における失敗の典型例となり、同国経済はアテネのプロピュライアのように荒れ果てたと述べた。その上で、借り入れを中心に据えた欧州の経済政策と高福利政策がもたらす悲惨な結末がギリシャ危機によって端的に示されたという認識を示し、この危機的状況が遅かれ早かれ個人資産に波及し、ひいては欧州全体を数年のうちに巻き込んで奈落の縁まで陥れることになる可能性を懸念している。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月11日

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