▽不動産調整政策と金利引き上げ観測の影響
4月中旬以降、上海・深セン両証券取引所は半年あまりの変動期を経て、加速度的な下落期に入った。4月15日の最高値を基準にすると、上海総合指数は3181.66ポイントから5月12日には2604.20ポイントまで下落し、最大の下げ幅は18%を超えた。不動産銘柄の占める割合が高い深セン成分指数の下げ幅は一層大きく22%に達した。A株市場の下げ幅は最近の世界の主要株式市場の下げ幅を大きく上回った。
株式市場のもろさは今月11日にはっきりと現れた。前日の10日に欧州連合(EU)がギリシャの財政危機に対する巨額の支援プランを可決すると、同日の欧米市場は相次いで大幅に反転上昇し、これまでの下落の損失の大半を取り戻した、だが翌11日の中国A株市場はわずかに上昇した後、急速に下落し、調整の最低値を更新しさえした。
市場はなぜ相次いで下落したのだろうか。英大証券研究所の李大霄所長によると、さまざまな要因が株式市場の相次ぐ調整を招いたが、現在最大の要因と考えられるのは不動産に対する調整だ。このたびの経済および株式市場の復興で、不動産による牽引が非常に重要な役割を果たしたため、現在、市場は不動産調整の基本ラインと最終目標を正確に把握できないでいる。また不動産関連の産業チェーンは時価総額で大きな割合を占めており、今回の調整が鉄鋼、セメント、銀行などの関連産業に対する判断に影響する可能性もある。
このほか通貨政策が非常に緩やかなものから、通常の適度に緩やかなものへと徐々に戻っていること、今年に入り金融機関の人民元建て預金の準備率がすでに3度引き上げられていることなどから、市場では金利引き上げ観測が続いている。こうした政策環境の下で、株式市場の流動性は不足を免れない。海外市場の強烈な変動が、A株市場の投資家の心理に影響を与えることも予測される。
▽株式指数先物取引 下落の「スピーカー」?
4月16日に打ち出された株価指数先物取引は、A株市場にショート取引メカニズムをもたらした。株式指数先物取引が打ち出された翌営業日にA株市場は大暴落し、その後、株価指数先物と現物指数はともに急速に下落した。ある投資家は、株価指数先物取引が打ち出されたことが株式市場下落の原因との見方を示す。