戸籍管理制度改革がカギを握る
――中国では、土地は国の所有であり、住宅購入者は土地を同時に購入することができない、この点が多くの国と違っています。中国は今年、住宅価格の急激な上昇を抑えることを重要目標に据えていますが、政府にはどんな良い手段があると思いますか。
伊藤 中国で住宅を購入する場合、土地の使用権は50年とか、70年とか言われているのは知っています。住宅を購入する人は、50年または70年の間に何が起きるのか、それは誰も予測することはできないと考えているようであり、まして誰もがそうならば、土地の所有権の問題を追究することはないだろう、と推測します。中国人はいつになったら住宅と土地を一緒に購入できるようになるのか、私個人としては、予想は非常に難しいね。
しかし、この問題に将来出くわした時に、政府が50年または70年に居住した人に、さあ出て行きなさい、住宅の使用は期限が過ぎた、と言うことはないでしょうし、必ず解決方法はあるはずです。
政府にどんな良い手段にあるかについては、やはり農村に着眼すべきだと思います。中国を見れば、家電が都市で飽和状態になった時に、「家電を農村に送り」、農村の消費レベルを高め、自動車が日増しに増加した時に、「自動車を農村に送り」、さらに新たな市場を持たせる、そうしたことがよく分かります。不動産問題の解決には、「住宅を農村に送る」ことは決してできず、ならば政策上から戸籍管理問題を解決しなければならないでしょう。