リフォーム期に入った中国経済

タグ: 中国 経済

発信時間: 2010-06-17 18:22:26 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

2月、中国は春節(旧正月)と元宵節を祝い、実質的に2010年の寅年が明けました。今年は、第11次五カ年規画(2006潤オ2010年)の最終年にあたります。この期間中には、北京五輪(2008年)、「改革・開放」30周年(2008年)、新中国成立60周年(2009年)、上海万博(2010年)などがありました。そして、今なお世界経済に大きな痛手を与えている金融危機の発生など、中国史と世界史に残るような大きな出来事が発生し、かつ、経済の持続的発展と省エネ・環境保全といった「成長と制約」の二律背反関係が強く意識された5年でした。(文:ジェトロ海外調査部・江原規由)

成長と制約の狭間

目下、中国では「経済構造調整」がしきりと論じられ、実践されつつあります。昨年12月に開催された中央経済工作会議では「経済発展パターンの転換と経済構造調整が2010年の中国の工業経済発展の重点」とされています。また、今年2月、李克強副総理は「わが国は経済構造調整なしでは持続的発展が難しい重要な段階に入った」と強調しています。今後、中国の「成長と制約」の二律背反関係を解くカギは経済産業構造の調整にあると、中国の指導者は強く意識しているのです。

経済調整の意義

経済構造調整を「住まい」に例えれば、古い家の「増・改築」ほどの意味があるといえます。個人の利便性と快適な生活空間を求めての増・改築と同じく、産業の高度化を通じて?人民生活の向上と環境保全が意識でき?持続的成長が見込め?国際競争力がある経済・産業構造を新たに構築していこう、というのがその狙いといってよいでしょう。

すでに経済構造調整は、省・自治区・直轄市や産業レベルで広範かつ多種多様に実践されつつあります。

例えば、上海市では?ハイテク産業を中心とした先進製造業を発展させ、戦略的新興産業など新機軸産業が牽引する経済発展パターンの構築?第二次、第三次の産業間調整を行い、生産性サービス産業を中心とする産業構造の構築──などが行われています。

また産業分野では、2009年に『十大重点産業調整振興規画』が発表されています。これは2009年1月から2月にかけて、金融危機で困難に直面した企業の支援強化のため、自動車、鉄鋼、IT、物流、紡績、装備製造、非鉄金属、軽工業、石油化学、船舶の十産業について断続的に発表されたものです。これに加えて最近、この十大産業を含め各産業に共通した構造調整の手法として「兼併重組」(合併・再編、経営統合、M&Aに近い概念)が積極推進されています。

さらに、2010年に民間資本の寡占業種や社会事業分野(石油、鉄道、電信、公共事業、衛生・医療、社会保障、教育、文化関連など)への参入を促進するとしているなど、民営企業にも産業構造調整への積極参入が期待されている点は注目に値します。

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