携帯電話には通話、ショートメール、写真、インターネットのほかに、ショッピングという機能が備わっている。欧州、日本、韓国では携帯電話をかざして地下鉄に乗ったり、買い物したりするのがすでに普通の光景になっている。米経済誌「フォーブス」が行った調査報告によると、日本では2008年に携帯電話による決済を利用する人が携帯利用者数の38.5%に達し、携帯電話決済市場の規模は47億3千万元に達し、移動通信ネットワーク産業の売上の11%を占めた。現在、中国の携帯電話利用者は7億8千万件に上り、日本市場での携帯電話決済利用者が携帯利用者数の約40%を占めるという割合で計算すると、中国の携帯電話決済利用者は3億人を超え、巨大な消費市場が出現することになる。環球網が伝えた。
マーケティング会社・アイリサーチがこのほど発表したデータ報告「2009年中国携帯電話決済の発展研究報告」によると、09年の中国の携帯電話決済市場の取引額は24億元に上り、前年の7億9千万元に比べて202.9%増加した。今年は28億4500万元に達し、利用者は1億5千万件を突破する見込みだ。
現在、上海市では携帯電話で2010年中国(上海)万国博覧会(上海万博)の入場券が購入でき、スターバックスでコーヒーが飲め、携帯電話をかざして地下鉄に乗るのが珍しい光景ではなくなった。現在、上海万博会場の内と外で、携帯電話による決済業務を取り扱う店舗は1500店を超え、これには飲食店やチェーン経営のスーパーマーケットなども含まれる。携帯決済取引が成功すると、直ちにその携帯にショートメッセージが送られる。上海の地下鉄11路線では携帯電話をかざしての乗車が可能だ。中国移動通信傘下の上海移動は公共交通カードの一ソウ通と提携し、携帯電話をかざして上海万博専用路線に乗車できるようにした。現在、上海移動の携帯電話決済サービス利用者は13万件に上り、年内には20万件を突破する見込みだ。
北京市では携帯電話決済業務が停滞気味だ。ある関係者によると、上海の携帯電話決済業務の発展は、万博開催というチャンスと切り離せない。万博入場券を買った人は、電話番号を変更せずに、上海移動の営業所で電波による個体識別の機能(RFID)を備えた新しいSIMカードへの切り替えを行うことができる。だが北京ではカード切り替えに150元の手数料がかかり、これがカード切り替えが進まない原因となっている。携帯電話決済を取り扱う店舗の極端な少なさも、発展を制約するボトルネックだ。また現在、巨大な潜在力を備える中国携帯電話決済市場には、統一的な決済の基準がなく、三大通信網のネットワーク構造や通信をめぐる合意もばらばらで、スムースなやりとりができないといった問題がある。ボトルネックをうち破り、携帯電話決済業務を全国で花開かせるには、なお長い道のりを歩まなければならない。
*ソウ:「上」と「下」が上下に組み合わさった字
「人民網日本語版」2010年6月17日