時は移ろい、いま西側諸国は中国に目を向けている。「中国経済が日米を凌駕する」という論調が盛んに持ち上げられるようになったが、そういった論調は、西側諸国が手の限りを尽くして中国を抑圧しようとしていることの裏返しであると言える。例えば国際貿易に関する交渉の場では、彼らはもはや中国を発展途上国とは見なさず、厳しい注文をつけたり、中国の輸出製品にたびたび「反ダンピングと反補助金」調査を行ったりし、経済成長の妨げとなる様々な施策をなしている。将来、これに類する状況はますます増えることだろう。
中国が世界の大国への道を進んでいることは疑うべくもないところである。最大の発展途上国であり、輸出額とGDPは何年も急速な成長を続けている。世界三位の経済規模も本年中に日本を抜いて、二位に浮上する可能性がある。しかし、忘れてはならないことがひとつある。世界で語られるのは経済などの規模の総量であるのに対し、中国が重視するのは一人当たりの平均であるということである。中国に関する統計はどれも、その膨大な人口の平均をとれば全く違った意味を持つ数字になる。ましてや科学技術水準、技術革新、文化影響力などの面で世界を主導していく力が具わっていないことは、火を見るよりも明らかである。