事実、急速な経済成長を何年も続けてきた中国は、GDPに関してだけは豊富な教訓を得ている。GDPの急速な伸びを見せる一方で、環境や国民生活、社会保障などの問題が近年際立ってきているのである。またGDP総額の著しい伸びが、国民財産の増加に結びついていない。富の偏在が今後さらに程度を増していくなら、人々の多くが経済成長に無関心となるだろう。自身の暮らし向きに影響してこないからである。
そういった意味から述べれば、中国経済が世界での順位を上げてきたことは、決して大局を反映した出来事ではない。中国のGDPが近い将来に日本と米国を凌駕したとしても、それは大きな達成とは言えない。GDPの拡大に伴って国民全体が裕福になることで初めて、重要な意味を持つのである。国民の満足度が高まるという結果こそが、GDPの存在価値なのだから。中国が経済構造の転換と調整という難題に立ち向かっているこの時期に、われわれは一歩を乗り越える際の苦しみや変化を遂げる過程の痛みに目を向けるべきで、逆に世界のトップになるとか、世界を征服できるなどと浮かれているようではいけない。2030年に中国が世界を征服するといったようなことは夢物語であり、そのような虚勢を張れるような器でもないことを、我々は忘れてはならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年6月25日