▽低価格車イコール低レベル車ではない
合弁ブランドと独自ブランドのこうした変化には、現在の中国自動車市場における新しい競争の局面が反映されている。これまでミドル・ハイエンド市場を独占してきた合弁ブランドはローエンド市場に力を入れ始め、これまでローエンド市場で必死になっていた独自ブランドがミドルエンド市場に参入するようになったのだ。
競争の新局面をどのようにみるか。中国工程院(工学アカデミー)の郭孔輝院士によると、中国のミドル・ローエンド市場の潜在力は巨大で、特に二線都市や三都市および都市部・農村部市場で、ミドル・ローエンド車に対するニーズが高く、海外メーカーはパイに預かろうと必死だ。また長年にわたり国産車は低レベルというイメージでみられることが多く、これが独自ブランド発展の最大のボトルネックとなっていた。ミドル・ハイエンド車市場に参入し、長年にわたる低レベルのイメージを払拭することが、多くの独自ブランドにとって現実的な選択となっている。
吉林省社会科学院経済研究所の姜軍研究員によると、こうした競争の局面により最も大きな利益を得るのは消費者だ。ローエンド市場の特徴は低価格だが、低価格車イコール低レベル車ではない。合弁ブランドと独自ブランドのローエンド市場における争奪戦は、合弁ブランドの価格引き下げをもたらすとともに、独自ブランドの品質の一層の向上にもプラスになり、細分化された市場における新技術の研究開発を加速させる。